絞め方による鮮度の違い

「鮮度を保つ」とは死後硬直までの時間を遅らせることである

死後硬直が終わるまでが生食可能な「鮮魚」

加熱調理ゾーン

苦悶死

死ぬまでにATPを消耗するため
すぐに死後硬直が始まる

絞めずにクーラーへ

ATPの量

死後
硬直中

硬直が解けたらもはや鮮魚ではない。加熱調理が適している

焼き物

魚のニオイが魚の水分といっしょに出ていく

煮物

減少した旨み成分を醤油と砂糖で補う

揚げ物

高温で殺菌する。蛋白質が熱変性して食感がよくなる

活け絞め

ATP100%
死ぬとATPが分解を始める

即殺して血抜き

新鮮な状態

まだ脊髄が生きているのでエネルギー源であるATPが消費される

死後硬直開始

死後硬直中

ATPがアミノ酸などに変化しつつ熟成が進む

ATPが枯渇すると解硬

自己消化 → 腐敗

筋肉が軟化して食感が損なわれる。細胞から水分が遊離して水っぽくなる。細菌が繁殖して生臭くなる → 加熱調理

活け絞め+神経絞め

ATP100% 死後硬直までの時間を長く保てる
美味しさのピーク時間も長くなる

新鮮な状態

脊髄でのATP消費がないため、新鮮な状態が活け絞めよりも6~12時間ほど、苦悶死の2~4倍ほど長く保てる

死後硬直開始

死後硬直中

ATPがアミノ酸やイノシン酸などの旨み成分に変わる

ATPが枯渇すると解硬

自己消化 → 腐敗

加熱調理が適している

  • ATPは筋肉を動かすエネルギー源であり、その量は急激に変動する
  • 釣り上げるときに暴れるとATPは減少する。痩せた魚や産卵後で疲弊した魚のATPも少ない
  • 活け絞めは苦悶死の2~4倍のATPが残っており、新鮮な状態をそれだけ長く保てる
  • ATPが減ると大小の筋肉繊維が結合して死後硬直をおこす
  • 「鮮度を保つ」とは死後硬直までの時間を遅らせること
  • 魚肉が劣化する速さは温度に依存する。新鮮な状態は温度管理で長くできる
  • 冷やし過ぎると身が硬くて旨みがない冷却収縮を起こす
LUMICA SHINKEI-JIME