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夏の夜の風物詩 「 メトイカ釣り 」 [ フィールドスタッフ 池田健吾 ]
[ ケミホタルフィールドスタッフ 池田健吾 ]
東京都大田区在住。3歳で竿を持ち6歳で船釣りデビュー。10歳で相模湾の船宿に通うようになり、高校卒業と同時にプロの道に進んだ。1975年生まれにして年間200日の場数を踏んだベテランである。 |
今や空前のイカ釣りブーム。そのゲーム性と手軽さにひかれ多くの釣り人が楽しんでいるが、食味もさらなる人気に拍車を掛けていることは言うまでもない。
全国的に見ても一番人気はやはりアオリイカ。「イカの王様」と言われるだけあってサイズもデカく、釣り味、食味ともに抜群だ。ただ、食味の点でさらに上を行くイカがいるのをご存じだろうか?
アオリイカが「王様」ならこのイカは「女王」とでも言おうか。関東でも三浦半島の先端、三崎港だけというごく限られた地域で昔からひっそり狙われてきたイカだ。当地での呼び名は「メトイカ」。目が光るイカ「目灯イカ」から来たようだが、数年前まではこの名前を出しても、関東はおろか三崎港周辺でしか通用しなかった。それがグルメブームに乗り各方面に紹介されてから一躍有名に。降って沸いたかのように訪れたイカ釣りブームにより、脚光を浴びるようになった。今では東京湾、相模湾でも欠かすことの出来ない船釣りの人気ターゲットにまで登りつめた。
そう、彼女の名は今じゃ「マルイカ」と呼ばれている標準和名「ケンサキイカ」だ。
三崎港周辺では昔からこのメトイカを狙う独特の釣り方がある。長竿の先に
ぎょぎょライト を付け、独特のメトヅノをたくさんぶら下げた仕掛けでゆっくり上下に誘いを掛けるとやがてフワッとイカが触手で触れるアタリが現れる。すかさずバシッとアワセを入れるとグィグィと独特の引きが伝わってくる。
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シーズンともなると岸壁にはこのイカの魅力にひかれたファンがズラリと並び、まるで宝石を散りばめたかのように
ぎょぎょライト の光がたくさん揺れる。夏の夜の風物詩、このメトイカ釣りを紹介しよう。この釣りは歴史が古く、長らく当地で営業するエサ店店主に聞いても「自分が子供の頃からやっていたから、少なくても50年以上じゃないか」と言う。
特徴は堤防釣りにしては異例の長竿を使うことと仕掛けにある。竿は昔からアユ釣り用の竿を使用する。長さは8〜9m。仕掛けの全長が長いためと、イカが岸壁までは寄って来ないからだ。
仕掛けは地元でメトヅノと呼ばれる小さなイカヅノをサビキ状に繋げたもので、マルイカ釣り用のスッテの原型はここにあると言われている。
元々はカリンなどの木を削り作る職人が三崎にはいたが、量産できないのと、今ではプラスチック製が市販されるようになり作れる後継者もいなくなってしまった。木製のものに「ガス糸」と呼ばれるカラフルな木綿糸を巻いたものが浮力があって、乗りも良く、私を含め常連氏達は何十年も前のものを大事に使っているが、今では各社から市販されるようになったマルイカスッテを使うファンも増えた。
仕掛けの上部には集魚灯として ケミホタル37 を付ける。オモリはなるべく仕掛けの浮力を殺さないように軽めの2〜3号を使用する。釣り方は竿とほぼ同じ長さにした仕掛けを沖目一杯に振り込み、竿先を岸壁に座ったときの目線の高さから水面までをゆっくり上下に動かす。このスピードは動いているかいないかわからない位。アタリは軽く竿先を押さえ込む程度のものから、竿を下げていく時に糸フケができるものなど千差万別。どの場合でも即座に鋭くアワセる。ハリ掛かりしたイカは潮を吐きながら抵抗するので小型でも釣り味が楽しめる。
この釣り発祥の地である三崎港は潮通しがとてもよく、足元から水深があり常夜灯があちこちにあることからメトイカが寄りやすい条件が揃っているが、他にもこの様な条件を満たす堤防は各地にある。元々メトイカは暖かい海ならどこにでもいるので、条件が揃っているポイントなら狙ってみる価値はありそうだ。
メトイカの魅力は何と言っても食味。甘味といい、食感といい、濃厚な味といいどれを取っても王様アオリイカをしのぐ。釣期は5月から8月。蒸し暑い真夏の夜が最盛期。夕涼みがてらのんびり出かけるにも最適なメトイカ釣り。みなさんもぜひ挑戦して美味しいメトイカをたくさん釣ってみてください。 |
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夜イカ釣りの概要 [ フィールドスタッフ 岡本光央 ]
[ ケミホタルフィールドスタッフ 岡本光央 ]
埼玉県川口市在住。ディープマスターの異名を持つ我が国深海釣りの第一人者。趣味は料理と魚体写真の収集。執筆歴20年を超すフィッシングライターでもある。 |
船の夜イカ釣りで威力を発揮するのが仕掛上部に配する発光体。関東周辺のスルメイカやムラサキイカ(標準和名アカイカ)釣りには必需品であり、一般的には「必要は無い」とされる伊豆沖のアカイカ(標準和名ケンサキイカ)やヤリイカの夜釣りでも、状況により顕著な効果が見られる。本項では上記4種の「夜イカ釣り」をセレクト。関東圏での概要と発光体の使い分けを解説してゆく。
関東地区では、県により遊漁の夜釣りに関する規制が異なる。このため、現状夜イカ釣りが可能なのは茨城県と静岡県である。 |
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【 スルメイカ 】
世間一般的に知られる「イカの夜釣り」はこのイカだが、関東では日中の釣りがメイン。夜釣りは静岡県沼津〜西伊豆地区と、東伊豆富戸、茨城県各港から、夏場〜秋口の比較的短い期間に行われる。
夜間・日中共に光の強い点滅式ライトが有効。シンクロC05−M600G、B05−M600G がお勧めだ。
【 ムラサキイカ 】
茨城県では長きに渡り「ゴウドウイカ」の名で夜釣りが行われて来たが、現在媒体の表記名は「ムラサキイカ」に統一された。
生食での評価は今ひとつだが、総菜加工用に大量に流通する重要産業種。日中は深海に生息するが、夜間は海面近くまで浮上。
「本場」茨城では鉛スッテ+浮きスッテ仕掛(図2)で秋〜冬に、05年より乗合がスタートした駿河湾は浮きスッテのイカサビキ(胴突式)で夏場に釣る。
大型は2〜3s以上になり、「引き」が楽しめる。スルメイカ同様、強い光の点滅式ライトが必需品。シンクロC05−M600G、B05−M600G がお勧めだ。
【 アカイカ 】
標準和名ケンサキイカを伊豆ではアカイカと称する。伊豆諸島の重要産業種であり、遊漁は釣場限定で許可される。晩春〜初夏が盛期。浮きスッテのイカサビキが基本だが、乗り渋りには下部に餌巻きスッテを配す。
発光体を使用する場合は、前出2種のイカよりも弱めのアイテムをセレクト。ピカピカドンドン + ケミホタル 、若しくは ケミホタル75〜100サイズ を仕掛上部にセットする。但し、サメが回遊している場合は速やかに取り外す配慮を。
【 ヤリイカ 】
12月〜1月中旬、東伊豆網代〜富戸地区を中心に、年により南伊豆地区でも。
イカサビキは日中と同じ物を使用するが、水深は数十mと浅く、錘が軽量となる。発光体に関してはアカイカに準ずる。 |
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● アオリイカは満月釣法
一般にイカは満月前後には釣れないとされますが、アオリイカは定置網でもエギ漁でも半月から満月に向かうときによく獲れます。
一日でいえば朝、東の空が明るくなり始める時間帯、または夕暮れからの時間帯に集中して釣れることから、アオリイカが好んで捕食する一定の明るさがあることが判ります。新月だとマズメの短い時間に釣れても、暗闇になってからはほとんど釣れません。視覚で獲物を捕らえて攻撃する以上、獲物を見るための光量が必要だからです。また、サイトフィッシングで釣れるとはいえ、明るい日ほど釣果がよいわけではありません。
ベイトの動きが鈍る夜間、ベイトからすれば暗くて敵が見えず、アオリイカには見えているバランスのいい照度。それが満月前の明るさのようです。外灯がある場所では光の境目を狙ってみてください。
摂食活動は月齢の影響を受けます。月齢=潮の大きさではありません。生物の月周リズムは基本的に光のリズムに同期しています。月光量の変化と並行して、潮の干満という現象が起きるのでつい混同しがちですが、潮の大きさではなく、光量の変化に影響を受けて行動します。
例外的にウナギが新月の夜に産卵するものの、フグやウミガメ、サンゴなどのほか、淡水の生物でさえ、明るい満月の夜に産卵のピークを迎えます。満月に向けてエネルギーが蓄積され、過ぎると沈静化に向かうため、同じ照度であっても下弦の月の活性は低くなります。 |
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