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  ■イシダイ釣りをはじめよう  〜むずかしくない究極の磯釣り〜
第9回 「実践編3 取り込み」

 前回は「慣れるまでは置き竿が最適」と書きましたが、なんと先日、ある釣り場でアタリがないので置き竿にして休憩していたところ、一気に竿が舞い込んで海中に飛んでいってしまうという大失敗をしてしまいました。幸い、尻手ロープを取っていたので竿は回収できましたが、まさかの一撃に完敗。やはりイシダイ釣りに油断は禁物です。

 さて今回は、最後のツメである取り込みについて解説しましょう。


● ハリ掛かりの確認


 クロ釣りではハリが上顎に掛かることが最適とされていますが、イシダイは上下に強靭な歯があるため、これにハリを掛けることはできません。たまに、歯と歯の隙間(俗にジゴクという)に掛かることもありますが、たいていは口の左右(口の内側から表皮にかけて)に掛かります。

 しかし、アワセのタイミングやイシダイが走った方向などによってハリが確実に貫通しない場合もあり、ハリ先だけで、カエシの部分までぬかっていないケースも少なくありません。したがって、海面にイシダイを浮かせたら、まずハリ掛かりを確認し、もし甘いようだったらぶり上げるのはやめ、玉網で取り込むか、ラインを掴んで暴れさせないように、静かに磯上へ引き上げます。とくに大型の場合、せっかく浮かせても最後の反転でハリが外れてしまうことも多いので、くれぐれも素早い判断と行動が欠かせません。
■ 口の内側から表皮へと貫通したハリ。俗に「カンヌキ」という。これなら途中で外れることはまずない。

 余談ながら、私は過去に3度、おもしろい(?)体験をしました。それは、なんとイシダイの口にハリが掛かっているのではなく、イシダイがハリをくわえたまま上がってきたのです。もちろん、海面で目をパチクリさせ、パッと口を開けてそのまま海面へと消えていきましたが、輪くぐりやバレーボールといった芸当をする魚ゆえ、これくらいは朝飯前なのでしょう。


● 超大型の取り込み


  5キロ以上の本イシやクチジロでは、引きも半端ではありませんが、取り込みもかなり苦労します。とくに足場が高かったり、ズルズルと滑る磯では思うように行動できず、無念の涙を呑んだ方も多いでしょう。そんなときは、ギャフか玉網を持参するに限ります。イシダイ釣りは豪快さが売り物ゆえ、いちいち玉網で掬っていたのでは迫力に欠けるとも思われますが、千載一遇のチャンスを逃さないためにはこれらを準備しておくことです。

 ギャフの掛け方は、上から振り下ろすのではなく、魚の下から上に引き上げるようにして掛けてください。魚体が傷んでしまうおそれもありますが、大型の取り込みではもっとも安全といえるでしょう。

 玉網の場合は必ず頭の方から滑り込ませるようにしてキャッチします。もし魚体が大きすぎて枠に入らないときは、枠を少し縮めて丸型から"サメの口"みたいにすると、意外にすんなり入ってくれます。

 ただし、ギャフにしても玉網にしても同礁者がいることが原則であり、単独ではなかなかうまくいきませんので、それなりの覚悟は必要です。ちなみに私は過去、2度ほど取り込むために海に飛び込んだことがありますが、決して真似をなさらないように・・・。


■ デカバンは取り込みに注意。無理にぶり上げるより、ラインを掴むか玉網で取り込もう。
● 磯上での注意


 念願のイシダイを手にして、感動が込み上げている瞬間は何ともいえません。ところが、ちょっと油断した隙にイシダイが暴れて、バタバタ、ポチャン・・・。もう言葉も出ません。そんなことにならないように、磯上にイシダイを引き上げたら、まず目の部分に塗れたタオルをかぶせましょう。こうすると不思議なことに魚は暴れなくなります。これはクロやチヌ、マダイなどでも同じですので、ぜひ試してみてください。

 そしてストリンガーに掛けるのであれば、ハリを外す前に通し、逃げられる確率をなくしてからハリを外します。締めてすぐにクーラーに入れる場合も同じで、最初に締めて血抜きをし、それからハリを外すと安全です。


● イシダイの活かし方


 イシダイ釣りでは、ストリンガーを使ってイシダイを活かすのが一般的です。渡船の回収時にストリンガーに掛けたまま乗り込むのはとても気分がよく、とくに大型であれば羨望の眼差しが注がれ、まるでヒーローになったような感じです。

 しかし、いつでも、どこでもストリンガーが使えるかというと、それはNOで、時化気味で瀬波の荒いときや、イシダイが寄っている場合は使うのを避けた方がいいでしょう。前者では外れる可能性や魚体が傷む可能性があり、最悪、ロープが岩ダナやフジツボなどに絡まって回収できなくなることもあります。いっぽう後者ではイシダイが警戒音(グーグーと鳴く)を発し、その後のイシダイが釣れなくなる場合もあります。
■ ストリンガーは状況を確認して使おう。
 
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