流通のほぼ85%を占める養殖マダイは湾内の浅い場所で育てられるため、全体に日焼けして黒ずんだ印象を与えます。しばらく前まで養殖マダイには、イワシミンチなどの黒くて脂っぽいエサが与えられていて、脂肪過多の傾向があったのですが、イワシの漁獲が減った現在ではビタミンを含んだペレットが主流となって食味も色も格段に改良されました。
脂肪は旨味につながる成分であり、あまり少なくてもパサパサになってしまいます。天然マダイは季節や大きさによって3%台のこともありますが、出荷時期をコントロールできる養殖マダイだと品質のバラつきは大きくありません。
天然マダイで脂質5.8グラムはやや多い方ですが、養殖マダイの栄養成分はさらに濃厚です。養殖ではエサのペレットを練るのに脂が使われるうえ、出荷直前に短期間で体重を増やすためにどうしても脂肪成分が多くなります。脂肪が多ければ熟成期間が短く、死後硬直が過ぎるとすぐに身が柔らかくなるので、活き締め直後の歯触りがしっかりしている間に食べるのがコツといえるでしょう。 |
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■ 日本食品標準成分表 ( 五訂 )
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養殖マダイ
(生の身肉100g) |
天然マダイ
(生の身肉100g) |
エネルギー |
142kcal |
194kcal |
蛋白質 |
20.6g |
21.7g |
脂質 |
5.8g |
10.8g |
ビタミンB1 |
0.09mg |
0.34mg |
ビタミンB2 |
0.05mg |
0.09mg |
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