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『 これでいいのかメバルの学名 / Sebastes Inermis 』

 カサゴやオコゼの仲間は、英語でスコーピオンフィッシュ、スティングフィッシュ、またはソーニーヘッドと呼ばれます。スコーピオンはカサゴ目をあらわすギリシア語の学名Scorpaenidaeと同じ語源で、棘があるとか有毒という意味です。スティング(sting)やソーニー(thorny)にも、棘があるとか刺す、または毒針といった意味があります。
 メバルはジャパニーズ スティングフィッシュまたはブラック ロックフィッシュが英名として提唱されており、学名はSebastes Inermisです。属名のSebastesは、由緒正しい(venerable)とか、偉大な(magnificent)という意味があり、種をあらわすInermisには武器を持たない、または棘がないという意味があります。したがってメバルは“棘あり目−由緒正しい属−棘なし種”という矛盾した学名を持っていることになります。

 メバルは眼が大きいので眼張と名付けられました。(註1)眼玉が飛び出しているため、江戸時代には、カエルが化けてメバルになると信じられていたようです。(註2)現在でも、愛媛県周辺でコビキ(小蟾)と呼ばれるのはこの名残りかもしれません。
 お隣の中国でも日本と同じく眼張(イェンヂャン)と書かれます。呼び名はいくつかありますが、(註3)中国北部沿岸では黄魚(ホァンユィ)(註4)が一般的です。これはその周辺に分布するメバルが黄色味を帯びているからで、海続きである韓国の魚屋さんにも黄色いメバルが並べられています。
 韓国語ではブルラク、またはチョンジョンオです。チョンジョンオには天井魚という意味があります。メバルがいつも、天を見上げた姿勢でいることから名付けられました。日本でも和歌山県で青天井(アオテンジョウ)。新潟・庄内地方で天口(テンコ/テンコウ)と呼ばれます。またホバリングして休む習性から「鮴」(註5)という漢字が充てられることもあります。

註1:貝原益軒「大和本草」巻之十三 魚之下海魚 目バル 目大ナル故名ツク
註2:江戸中期の百科事典「和漢三才図会」第49巻有鱗魚に記載
註3:ほかにも眼珠張などがある
註4:黄魚は地域によってはイシモチをあらわす
註5:淡水魚のカジカと同じ


プサンの魚屋に並んだ黄色いメバル



『 成長は遅いけど早熟 』

 秋から初冬にかけての低水温期になると、繁殖に備えての荒喰いが始まります。この時期は護岸などにエビが多く発生しますから、沖にいたメバルもエサを獲るために浅場まで寄せてきます。石積みの隙間や藻場の壁際、岸壁のスリット、港湾内で木材を浮かせているような場所はエサが豊富なので絶好のポイントです。これらの場所は、ほかの魚種にとってもエサ場のはずですが、水温の低下とともに沖に落ちていく魚が多いため、空き家状態になっています。小柄なメバルは大きな魚が苦手ですから、沖に落ちてきた魚たちと入れ替わりに近場にやってきます。寒くなればベラやフグなどのエサ取りも影を潜めますから、いいポイントに当たれば、陸っぱりで100匹を超える数釣りも可能です。

 メバルは11月頃から交尾のシーズンを迎えます。(水温に影響されるので一定ではありません。また魚種によっても差があり、青メバルは赤メバルより3ヶ月ほど遅れます)
 メスを獲得したオスは、体をU字型に曲げた大変無理な姿勢でメスを抱きしめながら交尾します。メバルは体内で孵化した稚魚を産む卵胎性の魚ですから、オスもメスも肛門の後ろに交接器があり、早熟な個体では二歳頃(約12p)から出産するようになります。
 お腹が大きくなったメスは体力を温存するため、岩陰でじっと静かにしている時間が多くなり、めったにエサを追いません。
 12月から翌年の2月頃にかけてが出産シーズンです。胎内に稚魚を抱えたメスは、流れが少なくて水深のある藻場の海底から、ロケットのように急浮上しながら4〜5oくらいの稚魚を勢いよく放出します。これを何度も繰り返しながら、数千匹から1万匹、大きな個体では5万匹もの稚魚を産みおとします。



『 もしかして性転換! 』

 稚魚は小さければ小さいだけ捕食されやすいため、全長10〜30oに育つまでは流れの緩い藻場ですごします。
 天敵は、やはり同じ場所にいるアイナメや体長10pほどのハオコゼ、スズキの幼魚などで、おもに全長2pまでの稚魚が標的にされますが、体長3p以上まで育てば生存率は飛躍的に高くなります。
 メバルの稚魚はおもにアマモ場に群れているイサザアミ(体長1pほどのアミ科の甲殻類)などを食べ、夏には6pくらいまで成長して、それまでの藻場から岩礁域に引っ越しします。
 沖根の岩の割れ目などを棲み家にしますが、そこには先住の根魚がいますから、エサを競合しないよう夜間に食事をとります。
 生後1年(8〜10p)になると今度は、天敵だったアイナメや太刀魚の稚魚などを食べるようになります。しだいに成長して遊泳力がついたメバルは、岸辺を離れて沖の深場に出て行きます。このときいっしょに生まれた仲間全部ではなく、その場にとどまって地つきのまま大きくなるメバルもいます。
 生後2年で12pほどの大きさになり、3年で15〜16p。20pまで成長するには6〜7年の歳月が必要です。小さい頃はオス・メスの比率はほぼ1:1ですが、大きくなるとメスが90%以上を占めるようになります。



『 メバルは3種? 』

 メバルは環境に応じて体色の変化が著しいため、今までに何度も分類が変遷してきました。古く貝原益軒の大和本草(1709年)という書物では「黒赤二色アリ小ナルハ四五寸。大ナルハ一尺二三寸アリ・・・黒キ大メハルアリ胎生ス」と、赤黒の2種に分けられています。その後、3種になり1種になりと迷走しましたが、現在はまた繁殖期が違うなどの理由から、3種類に分ける方法が提唱されています。
 今回はDNA鑑定によるものです。ミトコンドリアDNAの塩基配列を調べただけでは、3種を区別できる違いは見つからなかったものの、核DNAに同じ物質があるかどうかを調べるAFLP法で調べた結果、3種をそれぞれ識別できる固有の塩基配列が見つかったそうです。
 この方法によると、メバルは体色と胸ビレの軟条の数によってA・B・Cの3タイプに分類されます。標準和名はまだ決まっていません。しかし、体色は棲む場所での違いが大きく、釣って生かしている間にも変化し、死後はまた別の色になります。ヒレの条数も実際には、明らかなA型なのに13本しかないことがあります。中途半端に短いのがあって数えにくいのですが、大型の個体ほど条が多い傾向があることから、成長に従って増えるのかも知れません。分類はかなり手強いといえましょう。

写真右 : B型メバルと同一種? それとも独立した種類?
ほかのメバルとは行動パターンが違い、性格も凶暴な回遊性青メバル
ナゾの回遊性青メバル 「 ブルーバック 」 の攻略方法は Page 5 へ


【 A型 】
・ 生体赤色 / 死後赤色
・ 胸ビレ条数 / 15本

 赤っぽい体色をしているので一般的に「赤メバル」とか「金メバル」と呼ばれるタイプです。体色の変化が大きいため、C型と混同されがちですが、体高が低くスマートで、胸ビレも長く、先端がややとがっています。ウロコが粗くて大きく、ヒレも黄色から赤色味を帯びていますが、場所によっては白っぽい個体もいます。この赤(金)メバルは居付きのタイプで、藻がある浅い場所でよく釣れます。全体的に小振りな印象がありますが、最大35cm程度まで成長します。
【 B型 】
・ 生体青色 / 死後黒色
・ 胸ビレ条数 / 16本

 生きているときは背中が緑−青味を帯びているので、関西から瀬戸内海にかけて青メバルと呼ばれます。関東で釣れることはありませんが、市場では黒メバルとして流通しています。青メバルの数は多くありません。体型はズングリとしてパワフルで30cmを超えることは稀です。外洋を好み、潮が直接当たる磯や、流れのつよい瀬戸近くの緩みにいて、潮に乗って浮くため、おもに表層でヒットします。磯でボラのようにジャンプするのはこのメバルです。
【 C型 】
・ 生体褐色(黒) / 死後茶色
・ 胸ビレ条数 / 17本

 どこででも釣れる一般的なタイプで体高があり、多くが20cmオーバー。たまに35cmを超える大物も釣れます。生きているときは褐色から黒色ですが、死後はこげ茶色になります。A型は藻につきますが、このC型は岩礁帯のやや開けた場所にいるため、ヒラメの外道で釣れることがあります。海底近くを集団で漂うように泳いでいますが、潮の流れによって泳層が変化するため、タナを探りながら釣ってください。浅いタナで釣れだしたらチャンス到来です。

関東 関西・瀬戸内
A型 赤メバル 赤メバル / 金メバル
B型 黒メバル 青メバル / 鯖メバル
C型 黒(茶)メバル 黒メバル / 本メバル



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