07 マダイを美味しくいただく

新鮮マダイの料理3品

カブト蒸しの作り方

  1. ウロコを取ったカブトを沸騰したお湯に通して血合いを取り除く
  2. 塩を振って10分ほど馴染ませる。その間に蒸し器のお湯を沸かす
  3. お皿に昆布を敷き、カブトを中心に置いてネギやシメジを並べたら晩酌用の日本酒を振りかけてお塩もパラパラ
  4. 蒸気が出てきたら皿を入れ10~15分ほど蒸したらさあ出来上がり

鯛茶漬けの作り方

  1. 釣ってきた( または買ってきた )真鯛のウロコを落として切り身にする
  2. 醤油2:お酒1の漬けダレを用意し、粗く擂った炒り胡麻を入れる
  3. 漬けダレに真鯛の切り身をたっぷりと漬け込む
  4. 大葉、三つ葉などの薬味。刻み海苔、ワサビ、あればアラレも用意
  5. 熱々のご飯の上に3で漬けておいた真鯛の切り身を乗せる
  6. 熱々のお茶、またはだし汁をかけてハフハフといただく

ではお出汁はどうやって作るのか

 お鍋に500cc~1リットルほどの水を張り、10cm角くらいの出汁コンブを入れて一晩放置する。コンブに切れ目を入れるとエキスが出やすい。お鍋を中火にかけ、気泡が出てくるくらいの温度になったらコンブを取り出し、カツオブシを一掴み入れて弱火にする。沸騰する直前に火を止め、キッチンペーパーで濾過して出来上がり。

浜焼き

よいマダイはアラ煮にならない

 真鯛は秋から3月にかけてが美味しい時期で、旬になると脂がのって、皮の下に白いラードの膜が出来ます。沖で獲れたものより、沿岸で海老をたくさん食べて育ったものが味がよく、体もきれいなピンク色をしています。
 九州周辺では天草の瀬戸で育った真鯛が頭が小さくて身も締まっています。青い点も、眼の上のアイシャドウも美しいので一目見れば判ります。獲れた海域によってはすぐに目の周りが白く窪んで、色もよくありません。
 アフリカ辺りから冷凍で輸入された鯛の頭の半割が売られています。このような材料は風味が飛んでしまっているので、ミリンや砂糖を使って濃い味付けにするしかないでしょう。よい真鯛なら素材を生かした料理にできます。良くない材料だから味付けが濃くて照りのあるアラ煮にされるのです。
 釣人が手釣りで釣った真鯛は最高の食材です。さっきまで大自然で泳いでいたのですから、できるだけ調味料を使わずに、素材そのものの味を楽しんでください。お出汁を使う必要はありません。お出汁を使うレシピ本が多いですが、それは生きたマダイを使ってないからだと思います。お酒もこだわる必要はありませんが、料理用ではなく、飲んで美味しいものを使った方がスープまで美味しく仕上ります。
 天然の真鯛はカブトからいいお出汁が出るので、お皿にたまったスープにちょっとお醤油を垂らすだけで美味しい吸い物になります。
 蒸し器に入る大きさであれば無理をしてタイの頭を割る必要はありません。力のいる作業で危険ですし、カブトの形も崩れやすいです。割らず立てて入れれば見栄えもいいですね。刺身を取ったのこりの半身は吸い物の身や昆布締めに使ってください。魚が大きいときは刺身ばかりじゃ飽きますからね。新鮮な材料を使えばそれはやはり美味しいものが出来ます。

取材協力:長崎市茂木港 料亭二見
[ TEL:092-836-2323 ]

鯛はなぜ「 魚+周 」なのか

 ①全国どこでも身の周りに周年いるからという説と、②「 周 」とは「 平ら 」の意味であるとする説。さらに③骨が柔らかい魚のことだとする説と、④ウロコが整然としているからという4つの説があります。
 ①の周辺説は淡水魚の鯉ならまだしも、広い中国で海岸沿いに暮らす人口は全体のごく一部であり、大多数の人民に身近であるとはいえません。②の平ら説はほかに「 周 」を平らの意味で使う用例がないので根拠が希薄です。③の骨が柔らかいという説もマダイにあてるには無理があります。
 「 周 」は「 一定の面積の田畑に隙間なく作物を植えた様子 」をあらわす象形文字で、稠密の「 稠 」の元字です。これが彫刻の「 彫 」、調和の「 調 」へと展開し、さらには全面に彫刻が施された四角い盾の意味を持つようになりました。周の中の「 土 」も、もとは「 田 」ですが、魚という字で「 田 」はウロコが並んだ様子を表しています。このことから周の字は、全体にウロコが隙間なく並んで調和がとれた姿を示すと考えられ、④の「 ウロコが整然説 」が有力になります。