03 アジ釣りの基礎

サビキの基礎知識

波止サビキ

 サビキのサは素早い動きを表す接頭語、ビキは「 引き 」から来ています。サビキ釣りとは本来、仕掛けをサッと引くことで疑似餌を生き物のように動かし、魚の喰い気を誘う釣法のことですが、釣りの現場では、幹糸に数本のバケ鈎を取り付けた胴付き仕掛けのこともサビキと呼びます。バケ鈎とはアジのベイトである小魚を模した疑似餌のことです。
 このサビキ仕掛けをアミエビやイワシミンチなどのコマセ煙幕の中に紛れ込ませ、寄ってきた魚にウッカリ喰いさせるのがサビキ釣りです。
 仕掛けはタテに長くて鈎が多いため、魚の泳層が狭くてもどれかの鈎がヒットするようになっています。うまく追い喰いさせれば一度に鈎の数だけ釣ることも可能ですが、鈎が多いだけに仕掛けが絡みやすいという欠点もあります。

タックルは軽く

 磯竿か波止竿、または万能竿の2号程度を用意してください。アジは口元が弱い魚なので、あまり硬い竿だとバラシが多くなります。長さは水面までの距離に応じて3.6~4.5mクラス。仕掛けが長いので短い竿だと取り回しが不便です。逆に長い竿だと持ち重りして疲れます。
 釣り方としては、カゴまたはコマセ袋にアミエビを8分目ほど詰めて仕掛けを投入し、竿をあおってコマセを振りだしてからアタリを待つものです。ポイントが遠い場合はウキを使いますが、ウキもリールも使わない方が簡単で手返しがいいので、最初はウキを使って沖目を釣っていても、段々と近くに投入して群れを寄せ、最後は足元で釣るといいでしょう。これには釣り人同士の協力が必要です。
 遠投するときは撒き餌のアミにパン粉を入れると、ビシャビシャ飛び散って汚れるのを防げます。回遊魚なので足止めするのが基本になります。もし糸絡みなどで時間を取られるときには、せっかく寄ってきた群れを逃さないよう、撒き餌ヒシャクでコマセを投げ入れてください。

基本はタナの上

 アジの泳層は深く、視軸は斜め上を向いているので、アジのタナよりも上で喰わせるのが基本になります。最初は底から1ヒロくらいを狙ってスタートしますが、どの鈎に喰ってきたかを常に意識して、中央部分の鈎にヒットするようにウキ下を調整してください。エサを求めて群れは次第に浮いてきます。このとき、群れより下にエサがあると数が伸びず、アタリも喰い上げになるので判りにくくなります。
 群れが完全に寄ったら撒き餌の量をセーブしてください。撒き餌が少なければ活性が長持ちし、鈎に喰いつく確率も高くなります。
 夜釣りの場合は30mを超える大アジやクロダイなど、嬉しいゲストもヒットしてくるので、仕掛けを日中よりもワンランク太くして備えます。ガツンとくる外道のアタリに耐えるのにも柔らか目の竿が適しています。

トラブルなしのノベ竿釣り

 群れが足もとまで来ているとき限定で威力を発揮するのがノベ竿釣りです。水面までの高さがあまりなくて、竿を下げるだけで仕掛けを投入できる水深であれば、迷わずにノベ竿を手にしてください。ガイドのない竿1本だけを使うのでトラブルが起こらず、初心者でも楽しむことが出来ます。
 何回か仕掛けを入れてポイントを作ったら小アジを釣らないよう3mほど離れた場所を釣ってください。
 アジがヒットしたときは口切れしないようにゆっくりと竿を上げて追い喰いを待ちますが、もしサバのように奔り回る魚のときは、オマツリを避けるために素早い回収が必要です。群れが回ってきた短い時間内に数を出すためには、鈎外しのスピードアップを心がけてください。いちいち竿を置かずに鈎を外せるようになれば一人前です。

サビキの使い分け

 アジ用のサビキは、全国の浦の数だけ種類があると言われています。バケの素材はもちろん、色や鈎の大きさ、枝ハリスの長さ太さによっても釣果は左右されるので、仕掛け選びは重要なポイントになります。天気や海水のニゴリ具合、ベイトの種類、海の中は岩礁なのか、どのような藻が生えているのか。判断すべき条件は多いのですが、これという決め手は少なく、実際には経験則で判断するしかありません。
 その釣場で実績のあるサビキを使うことが釣果に結びつく早道なので、最寄りの釣具店さんにアドバイスを求めてください。数種類を用意しておくと柔軟な対応が可能になります。

ライン

 ハリスは長いほど動きが自然ですが、絡みやすいために消耗が激しくなります。とくに船釣りの場合、長ければそれだけ枝間も広くなるのでタナをヒットする鈎の数が少なくなります。ハリスが短かければ動きがクイックで、生きた小魚のような動きで誘うことができます。

フック

 釣る対象が小型なら袖バリの3~5号、中型なら6号以上を使ってください。小さい鈎の方が目立たずに喰いがいいので、小さめの鈎を使ったサビキも購入しておくと心強いかもしれません。

バケの素材

 サバやサワラ、サメの腸などで作った魚皮製のバケは、光を反射して独特の光沢を放つため、日中や朝夕には効果があるものの、夜釣りやニゴリ潮では効果が薄いとされます。逆に、オーロラと呼ばれる虹色の光沢素材は濁り潮でも有効とされています。薄い半透明ゴムのスキンは、もともとアミコマセといっしょに使うために考案されたため、コマセの量が多いほど効果があるとされます。

色の選び方

 基本になるのは撒き餌にするアミと同じ色のピンクと赤ですが、視認性は潮の色や天気によって変わってきます。その日の当たりサビキを早く見つけることが釣果につながるので、パイロット的に多色・複数素材のサビキを使うか、釣れている人のサビキを参考にしてください。
 マズメや夜間には夜光素材を使ったものが有利です。アジの視界が制限されている海中で、どれが目立つかを考えて選ぶといいでしょう。ケミホタル の発光色と光量がアジに警戒されることはありません。使って逆効果ということは絶対にないので、小さい ケミホタル は喰わせ用として鈎近くに、大きな ケミホタル は遠くからの集魚用として鈎から1mほど離れた場所にセットしてください。

バケの色

ピンク & 赤系

ニゴリ潮でも澄み潮でもオールマィティで効果があるとされ、実際に多くのサビキにピンクと赤のスキンが使われています。

白系

晴天時や澄み潮のときにコンスタントに使えます。アジが下から見上げたときのベイトの白い腹を模しているそうです。

夜光グリーン

チモトに夜光塗料のついたサビキ、または夜光グリーンのウィリーを巻いたサビキはニゴリ潮、朝夕のマズメ、曇天、または深場での集魚に効果があります。

緑色

緑色のカブラがよく売れるような内湾で効果があります。植物プランクトンが多い海域、ツノモエビやコシマガリモエビなど緑色のエサ生物がいる一部地域で効果を発揮するものの全国区ではありません。

黄色

色彩のスペクトルでは赤と緑の中間に相当します。赤が釣れ、緑が釣れるなら、黄色も釣れるはずですが、黄色いエサ生物がいないためか、あまりいい釣果を聞きません。

青色

海の中には青い光に満ちており、魚類の色覚は青色側につよいとされます。しかし青色の背景で青色のサビキでは目立たないので釣果はよくありません。

カラ鈎

晴天での使用が原則です。軸の部分を平打ちすることで日光を反射し、キラキラとベイトの稚魚のように輝くので、シラスなどがいる場所で効果があります。

サビキ釣りは鈎にエサをつけずに手返しの速さを狙った釣法ですが、喰い渋りで釣れないときはバケのないカラ鈎にエサをつける手があります。生エサを使うので夜釣りでもOK。スピード餌付け器で自動的にエサをつけますが、外れやすいために波の強い場所には向いていません。コマセは別に撒くのでバッカンと撒き餌ビシャクが必要になります。

上カゴと下カゴ

のんびり上カゴ

 サビキの上部にマキエカゴが配置された仕掛けはおもに東日本で主流となっています。仕掛けを投入するだけでマキエが少しずつ落ちていくので、竿をあおってマキエを振り出す必要がありません。潮の緩やかな湾内であれば、マキエと仕掛けを同調させる手間が不要で、置き竿でも釣ることができます。また、マキエが出過ぎないため夜釣りにも向いています。オモリが小さくて全体的に軽く、マキエの出る位置が高いため、アジが浮き上がり気味のときにも適しています。蓋が閉まるタイプの容器を使えば、狙いのタナまでコマセを排出せずに届けることができるので、深場を狙うこともできます。
 ただし、重量のあるカゴとオモリが離れた場所にあり、投げの場合はこれにウキも加わって、重心が分散するために絡みやすいという欠点があります。多連で喰ってきたときにもトラブルが起こりやすいようです。
 空中で絡ませないようにフワリと投げ上げる感じで振り込むので遠投には向いていません。また、竿を上げたとき、カゴが一番下にないため、さっと手に取ることが出来ず、毎回フタを開けてアミエビを入れる作業にも手間がかかります。
 せっかくの時合いが巡ってきたときに、竿をシャクってコマセを振り出しても、サビキと同調する深さまで沈んでいくのに時間がかかるため、短い間に数を稼ぐのにはあまり向いていません。また、下カゴ仕掛けに比べると全体に張りがないため、豆アジクラスの小さなアタリだと判りづらいこともあります。

テキパキ下カゴ

 西日本で人気なのが下カゴサビキ。カゴと一体になったオモリが仕掛けの先端にあるために遠投しやすく、糸絡みなどのトラブルが非常に少ないのが特徴です。遠いポイントを狙うときにはカゴを重くして、それなりの太さの幹糸を使ってください。
 竿を上げたときフタのないカゴが一番下にあるのでエサ詰めもスピーディー。アミを海水で溶いておけば、カゴの上を手に持ってバケツの中でシャブシャブするだけで詰めることができます。下カゴは水中に投下した瞬間からコマセが出るので浅場に向いた仕掛けです。深場を狙うときは指で押さえてきつめに詰めるか、または口を針金でしばって流出量をセーブしてください。
 時合が巡ってきたときにどれだけ効率よく仕掛けを投入できるか。とくに群れの小さい初夏には、手返しのよさが釣果の分け目となります。下カゴは扱いやすいうえ、コマセの出が早いために投入量が自然と多くなり、アジの群れを足止めすることができるので釣果も伸びることになります。
 たくさんのアジが群れて喰い盛っている状態になれば、カゴが沈降するときに舞い出たコマセの中にサビキが素早く追いかけて入っていくので、手返しよく釣り上げることができます。群れが寄ってくるまでは、いったん仕掛けを落としたら、竿を大きくシャクってコマセを振り出し、その煙幕の中にサビキを入れる一手間を惜しんではいけません。仕掛けを上げるときは、竿尻にカゴが来る位置でリールを巻くのを止めて、竿で起こすと手返しがいっそう早くなります。しかし、アジがヒットする度に一々竿を上げていたのでは数を稼ぐことができません。追い喰いを待って一度にたくさん釣り上げれば効率がいいのですが、先にヒットしたアジが横に奔って巻きつくことが多くなります。そこで一匹フッキングさせたら仕掛けを張って、自由に泳がせないのがプロのワザです。

アジホタル - 朝・夕のマズメに。サビキ仕掛けに簡単セット!

夜の堤防から釣れる魚「 カサゴ 」

 夜の堤防から釣れるのはアジだけではありません。刺身でよし、みそ汁でよし。塩焼き煮付け唐揚げなんでも来いの高級魚カサゴを狙ってみましょう。
 カサゴは水深100mまでの岩礁帯に棲む魚で、エビ・カニなどの甲殻類やゴカイ、小魚をエサにしています。昼間は海底の岩陰に潜んでいるため、ピンポイントで目の前にエサがプレゼンされないと喰いませんが、夜になれば出歩いて活発に補食するので、楽に釣ることができます。
 狙い目はテトラの際や隙間、捨て石の間など身を隠せるストラクチャーがある場所。もしゴロタ石が転がるような磯であれば、波打ち際の石の隙間にエサを落としてみてください。このとき目印として使うのが 超小型のケミホタル「 ちもとホタル 」です。糸絡みしにくくて光を大きく見せるラグビーボール型の透明チューブをラインに通して使います。もちろん集魚力バツグン! ガツガツと大きなアタリが出るので、根に潜られないよう、すぐに巻き上げてください。根ズレによってラインが傷みやすいので、頻繁なチェックが欠かせません。

ちもとホタル - 世界最小の集魚ライト。2種類のアタッチメント付属!

こんな釣法があったのか!
カサゴの落とし込み

ケミホタルフィールドスタッフ池永祐二さんのオススメ釣法が壁際の落とし込み
 昼間のカサゴは当然、海底までエサを届けて狙います。でも夜は水面直下から3m位までの浅いタナでカサゴを釣る事ができるのです。底狙いと違って根掛りがないのがメリット。外道のアナゴも来ません。カサゴが主体です。根魚であるカサゴはあまり広範囲な回遊はせず、深場から浅場へと直線的な往復をしていて、夜になると浮き上がって岸壁の垂直面にまるでハゼのように貼り付きます。潮間帯に付着しているムラサキガイやフジツボに身体を預けて、隙間に潜んでいるゴカイやエビを食べようとヤル気満々の、このカサゴを釣るのです。
 狙いは壁際ギリギリなので鈎を引っかけないように注意してください。海藻が多い場所は釣りにくいので避けましょう。堤防のコーナー付近はベイトが集まりやすいので見逃せないポイントです。
 岸壁から10~20cmほど離れた場所を、竿先を少しずつ下げながら ケミホタル の付いた仕掛けを落として行くと、ケミホタル がスッと際の方へ移動します。これがカサゴのアタリです。一呼吸おいてアワセを入れれば、万能竿が締め込まれ、かなりスリリングな釣りを楽しむことができます。
 アタリが出ないときは少し誘いを入れて待ってください。そうすると、近くにいるカサゴがやってきて喰いついてくれます。それでもアタリが出ないときには仕掛けを上げて、1mくらい移動したらまた海面から落とし込んでください。キャップライトは点灯したままで大丈夫です。カサゴは光を嫌いません。

池永名人のブログ
「 磯にはいつも夢があるⅡ 」

ケミホタル - 夜釣りの強い味方! ケミホタルシリーズ