07 アジを美味しくいただく
生より旨いアジの寿司
佐賀関から南へ約80kmの蒲江町も海産物の宝庫。地付きの黄色いアジはもちろん、背中が濃い緑色をした地方系らしきアジまでいて、この地域一帯では酢〆のアジ寿司が名物になっています。
魚市場近くにお店を構える「 ますの寿司 」さんは、漁師さんからの直接仕入れで、お客さんもまた魚にかけてはプロの漁師さんたち。大将の増野さんは語ります。
「 基本的に、その日の朝水揚げされた魚は、その日の夜までに食べてしまいます。朝8時に仕込みして夜の8時にお出しすれば半日ですね。そんな鮮度で回転しているので、私たちは魚がどのくらいで傷むのか知りませんし、生臭いなんて思ったこともありません。匂うのは鮮度のよくない魚です。新鮮なうちにきちんと処理しておけば匂いは出ませんよ 」。
その「 ますの寿司 」はアジ寿司も天下一品の旨さ! 大将に、地元の屋形島に伝わるアジの丸寿司の作り方を教えていただきました。
新鮮なアジを使うこと
よく脂の載った15cmくらいのアジを3枚におろします。11月から翌3月くらいまでが一番美味しいシーズンです。季節によって大小はありますけど、そのくらいの大きさのアジは一年中とれます。大きなアジの場合は身を削いで使えばいいですね。3枚におろすときは、味が抜けてしまわないように、出来るだけ水を使わないようにします。
たっぷりベタ塩
タッパーに塩を用意して、アジの身の両面にたっぷりと付けます。そのまま水抜き穴のあいたバットに並べて3時間ほど置くと水分が抜けおちます。冬場で脂が乗っているときはやや長めの3.5~4時間、身が小さくて薄いときは2~2.5時間でしょうか。夏場の暑いときは冷蔵庫に入れてください。
流水5分で塩抜き
3時間ほど経ったら真水で4~5分間洗って塩分を抜きます。塩気を少しだけ残しておくのがコツです。洗ったらざっと水気をぬぐってから生酢にくぐらせてください。それから甘酢に漬け込みます。
ふつうのお酢でOK
ミツカン酢1リットルに砂糖を800g入れた甘酢を用意してください。カボスを絞り込むと風味が増します。この中に最低で3時間、身が厚ければ4時間漬け込んでください。そのくらいの時間なら外は白くても中は生です。お好みで4日でも5日でも漬けたままで構いません。
寿司飯を作る
甘酢から取り出したらキッチンペーパーで軽く押さえてバットに並べます。よくほぐしたご飯一升に対して酢200cc( +砂糖と塩を適量 )をまんべんなく振りかけて酢飯を作ってください。刻んだ大葉とゴマ、ショーガの千切りを混ぜると美味しいですよ。
① 割竹の内側を濡らして、身離れをよくするためにハランを敷く
② 皮側を下にして酢締めしたアジを隙間なく並べる
③ 並べたアジの上に数枚の大葉を敷き詰める
④ 適量の酢飯をのせる。バッテラよりもフンワリ目に仕上げるのがコツ
⑤ 裏返して押さえつけ、布巾の上から両端の形を整える
⑥ 型から取り出して食べやすい大きさに切り分ければ完成
丸寿司は飯を押さえているので、飯粒の間の空気が抜けて、常温でも傷みにくくなっていますが、できるだけ早めに食べてください。マアジ、アカムロアジ、鯖、カマス、どれも同じレシピで寿司にできます。鯖は身が厚いので塩付けと酢漬けの時間を長くしてください。これも身に包丁を入れ、削ぐように開いてから飯を詰めるといいですね。
取材協力:ますの寿司
佐伯市蒲江大字蒲江浦2-3407
[ TEL:0972-42-1711 ]
営業時間 12時~22時 火曜日定休