クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
008. 必要なガン玉と不要なガン玉を見分けよう。 【 鵜澤政則 】
 ガン玉の役割を一口に言うと、狙いの潮に仕掛けを入れること、そのためにこそ打つのである。具体的にはタナをキープする、複雑な流れの中で仕掛けを落ち着かせる、風による仕掛けの浮き上がりを防ぐ、ツケエの落ち込みを演出するといったことになる。

 私の場合は、二段打ち、三段打ちがメインで一個だけ打つことはない。一個打ちをしない理由は、仕掛けがVの字を描きながら沈んでゆく点が気に入らないからである。 したがって、もし2Bのガン玉が必要だと判断したら、釣側にまず4号、サルカン側にBという具合に分散させて打つのが基本的なパターンである。 このとき、鈎側に打つガン玉は、ツケエの落ち込みを演出するという大切な役割を担っているから、潮に合わせたサイズと鈎からどれくらい離して打つかを考える必要がある。

 釣上10pに打つという人もいるが、経験的にある程度離したほうが食い込みがよいと思っているので、私の場合、よほどのことがない限り最低矢引きくらいは離して打つのが普通である。 このガン玉が最初に決まって、あと二段でゆくか三段でゆくか、鈎側のガン玉からどれくらい離して打つか、などを決めるのが私のやり方である。 といっても、このまま固定してはいけない。クロの食いや潮の流れなど状況の変化に合わせて、どんどん変えてゆくのがミソなのだ。当然釣れないときほど変える頻度は高くなる。

 さて、ガン玉を打つと仕掛けはどうなるかというと、下図のようにガン玉を起点にふくらむということが水中観察によって分かっている。以前、仕掛けは「ノ」の字になるのが理想などと言われたものだが、実際にはガン玉を打つことによって仕掛けが張り、張ることによって潮の抵抗を受けるのである。 ここで、糸を手に持った凧と離した凧の違いを考えてみてほしい。凧は手に糸を持っているからこそ風の抵抗を受けて安定して飛ぶのである。糸を離すと、ただあてもなく飛ばされるだけ。

 仕掛けもこれと同じで、ガン玉を打つことによって、はっきりとした方向性が生じ、潮に乗るのである。 風が強ければ強いほど凧を持つ手に力がいるように、潮が速いほど重いガン玉が必要である。また、風が強いときや流れが複雑なときも重めのガン玉を打たないと仕掛けは入らない。 こういった具合にまず潮を読んで、どれくらいのガン玉をどう打つかを決めるのが先決。ウキを決めるのはそれからで、下の仕掛けに見合うオモリ負荷、状況に合わせたサイズとシェイプのウキを選ぶ。 なのに先にウキを決めてしまうから、浮力調整用といった不要なガン玉を打つ必要が生じるのではないだろうか。

 浮力調整用のガン玉というのは、ガン玉で浮力を殺せばウキの感度がよくなるという意味であろうが、これは大きな誤り。極端な話、オモリ負荷10号のウキに10号のオモリをつけて釣る場合と0号のウキで釣る場合を考えてみればよい。どちらも浮力0だから感度が同じかというと、そんな事はないはずだ。 もしガン玉で浮力を殺してウキの感度を上げる事ができるのならば、オモリ負荷の大きなウキが一個あれば十分である。 ウキに0号とかG2とかBとかいったいろんなオモリ負荷があるのは、水面下の流れに仕掛けを合わせる必要があるからにほかならない。 つまり、ガン玉はその役割を考えて必要最低限打ち、それ以外のものは打たないことが肝心である。
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