クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
010. これだけは知っておきたい強いサルカン結び。 【 倉掛義照 】
 私は基本的にサルカンを使わない。離島でオナガを狙う場合を除き、クロ釣りではほとんど使わないようにしている。 理由は簡単、サルカンを使うと結びめというバラシの原因を作り出すばかりでなく、仕掛け全体の強度を落としてしまうからである。

 金属のサルカンが原因で強度が落ちるという点に関して、疑問を持つ読者も多いだろうから説明しておこう。 その原因は、サルカンが伸縮性を持たない点にある。魚が掛かったとき仕掛け全体にかかる衝撃は、道糸やハリスの伸縮性によって分散されるのだが、途中にサルカンがあるとその働きを阻害してしまうのだ。 結果、仕掛けの弱い部分、もしくは伸縮性に富む部分に負荷が集中する。 そうした理由から、できるだけサルカンの使用を避けている私が、なぜサルカン結びの解説をするのか。それは、釣りはいつも「例外」がつさまとう遊びだからだ。

 私がサルカンを使う例として、主に二つのケースがある。 一つは、道糸とハリスがともに太い場合である。このケースで直結すると、かえって強度が落ちる。もちろん、太仕掛けである以上、仕掛け自体の強度は高いのだが、結びめの締まり具合がどうしても甘くなり、いらぬ摩擦を起こしてしまう。また、釣っているうちにほどける可能性もある。 具体的な目安を挙げると、道糸4号とハリス5号の組み合わせが直結のギリギリライン。ただ、これは本当にギリギリだから、ハリスは3号程度までにしておいたほうがよいだろう。 二つ日は、道糸とハリスの太さに大きな差があるとき。クロが極端に食い渋り、ハリスを落とすような状況で起こるケースだ。サルカンを使う理由は前者とほぼ同じである。 具体的には道糸3号で、ハリスが1.5号以下というのを目安にするとよい。

 さて、図で紹介しているサルカン結びについて説明しよう。最終的なでき上がりを見ると、サルカンの輪に一本しか糸が掛かってないので貧弱に見えるかもしれないが、これは私がヒラスを釣るときに用いているもの。その圧倒的なパワーに耐えるのだから、強度は折り紙付きだ。 実際、サルカンの輪に何本糸が掛かっているかということと強度とは、さほど関連がない。 ただ、結ぶ際に多少注意が必要になる。途中で一度軽く締めなくてはならないのだが、ここで強く締め過ぎないことだ。これをやると次の段階で糸がちりちりにヨレる。ごく軽く締め(正確には、締めるとは言えないほど緩い)、唾液で十分湿らせてスライドし、締め込むこと。 きちんと結べていれば、テンションが掛かればより強く締まってゆく。糸の太い細いに関わらずに使え、かなりの衝撃に耐えられるので、ぜひとも自分のものにしてもらいたい。

* 本文中で、サルカンの輪に何本の糸が掛かつているかということと強度とはさほど関連がないと述べた。これについて補足しておこう。

 二本、三本とサルカンに掛ける糸を増やして繰り返し実験してみたところ、なぜか一本しか掛けていない結びと差が出なかった。そして、さらに続けているうちに、かえって一本のほうが強いという結果が出た。 私も不思議に思ったが、切れたほうの糸をよく見て納得した。決まってサルカンに掛かっていない部分、つまり、結びめでダンゴになっている部分から切れていたからだ。 結びめも仕掛けの例と同様、バランスが重要である。ある一部分を強くしようと思うと、それを支えている部分に負荷が集中する。それならば、かえって一見弱そうでも伸縮性を残したほうが、負荷を分敏させて、結果的により高い強度が得られる。実験の結果について私はそう理解している。
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