クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
011. これだけは知っておきたい強い鈎結び。 【 倉掛義照 】
 前項のサルカン結びに続き、本項では強い鈎結びを紹介しよう。 鈎結びは、雑誌などでたくさん紹介されている。ところが、大抵の釣人は一種類、多くても二、三種顛しか覚えようとしない。それが実情だ。それもそのはず、結ぶ鈎は一つなのだから、三つも四つも覚えたところで使い道がない。 しかし、どうせ覚えるのだったら、一番強い結び方を覚えておいたほうがよいのではないだろうか。私が結びめ、特に鈎結びに要求するのは、まず強いこと。これだけでは当たり前だから補足すると、とんでもなく強いことである。

 強さの条件を具体的に表現するなら、鈎の耳を切り落としても1sオーバーのクロを抜き上げることができる程度ということになる。 多くの釣人が採用している外掛け結びでそんなことができるだろうか。はっきりいって無理。なぜなら、外掛け結びは最後まで自分の力で締め込まなければならないからだ。 どういうことかというと、最終的に思いきり締め込んだときの釣人の力が、すなわち結びめの強さということ。決してそれ以上の強さにはならないし、釣人によって強度に大きな差が出てきてしまう。

 鈎の結びは、引かれれば引かれるほどグイグイと締まるものでなくてはならない。 しかも、外掛けは強く結ぼうと思えば思うほど摩擦や過度の負担がかかり、最初の段階でハリスを傷めてしまうのである。 この「ハリスを傷めないこと」というのが、私が鈎結びに要求する第二の条件である。 そのためには、締める段階で使うほうのハリス(チモト側)に負担をかけないようにしたい。強く引っ張ってもいけないし、摩擦がかかってもいけない。 これは、0・4号ぐらいの極端に細いハリスを使ってみるとよく分かる。自分なりの方法で結んでチモト側がヨレていたら、それはハリスに負担をかけやすい、言い換えればバラしやすい結び方ということになる。

 そして最後の条件が、太いハリスでもしっかり締まるということ。良型のオナガやヒラスを相手にするとなれば、当然ハリスは太いものを使う。 そうしたハリスと鈎を結ぶ場合、結びめはどうしても甘くなる。このことは、外掛けで結んだ10号以上のハリスを力いっぱい引っ張ってみるとよく分かる。 十中八九、結びめが鈎の耳を越えてほどけてしまうのだ。せっかくの大物を、これが原因でバラしてしまうのはいかにも馬鹿馬鹿しい。

 図で紹介している鈎結びは「内紛けクロス結び」といわれるもので、それら三つの条件をすべて克服している。 大物が獲りたい人、自分の結びめに自信がない人は、ぜひとも覚えてほしい。


* 今回紹介した鈎結びに到達するまで、私はさまざまな試行錯誤を繰り返した。我流だが、結び方を数多く編み出しては、引っ張り合いをしたり、実釣で試したりして「内掛けクロス結び」にたどりついたのだ。当時は雑誌などで紹介されていなかったから、完全なオリジナルだった。 ある日、こんなことがあった。鵜澤政別さんと一緒に釣りをしていて、彼の鈎結びを見ると、私とまったく同じだったのだ。話を聞けば、彼も我流でこの鈎結びに至ったという。 偶然、同じ結び方だったのだが、そこには最強の鈎結びへの探究心という必然性があったのだと思う。
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