クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
016. 結カーボンハリスは必ず糸グセを取って使おう。 【 石田順市 】
 ハリスに糸グセはつきものである。スプールから引き出してそのまま垂らしてみると、程度の差はあれ、ほとんどの糸が蝶旋形を描くはずだ。 それは号数が大きくなるほど顕著になる。私たちが普段使用する1・5、2号ならそれほどでもない。だが、離島の夜釣りでデカバンを狙うときには8〜12号という太いハリスが必要になる。それだけ太いと、スプールから引き出したとき、バネのようにビヨンビヨンの状態になってしまう。 ワンピースのルアーロッドのように、まっすぐに伸ばした状態で持ち運びができるならそんな心配はいらない。しかし、ハリスは小さなスプールに50mもの量が長時間巻かれている。これでは糸グセがつかないはずがない。

 この糸グセがついたハリスをそのまま使うとどうなるだろうか。まず、水中をヨレが入った状態で漂うから、自然に流れない(螺旋形は抵抗を受けやすい)。 そうなると、さまざまな障害が出てくる。当然、張ったり緩めたりといった、食わせるための「仕事」がしづらくなる。思い通りに操作することが難しいのである。 また、糸グセは魚が食い込むときに余計な抵抗となる。魚がツケエを食って引っ張ったとき、ハリスがヨレて(回転がかかって)いると、やはり違和感を覚えるだろう。いったんくわえて吐き出してもハリスがたるんだままだから、ウキに当たりすら出ないかもしれない。 これが、まっすぐに延びていると、ハリスの角度によってはツケエの影に隠れ、魚から見てハリスは死角になりやすいというメリットがある。ツケエしか見えなかったら、躊躇なく食い込むことも多くなるだろう。そして、その動さは速やかにウキに伝達されるから、適切なタイミングで合わせを入れることができる。

 糸グセが余計な抵抗となるのは道糸も同様である。ヨレがひどいと、風波の影響をもろに受けるので、まともに流すことさえできなくなる。 とにかく、糸グセはあっていいことは一つもない。ラインはできるだけまっすぐ廷びた状態で使うべきなのだ。したがって、スプールから引き出したとき、糸グセを取る作業が必要になってくる。

 私の場合、ハリスはスーパーLを使っている。このハリスなら、50pほどの間隔で開いた両手で握り、急速に張ったり緩めたりを繰り返すだけで糸グセが取れる。たったこれだけでよい。最近の糸作りの技術は本当に進歩したものだ。 しかし、現在市販されているすべての糸が、スーパーLのように簡単に糸グセが取れるとは限らない。そこで、一般的な糸グセの取り方も説明しておこう。

 かくいう私も、スーパーLが発売される前は、ハリス全体を唾で滞らし、タオルで延ばしながら糸グセを取っていた。簡単にクセが取れないハリスは、この方法で試してみるといい。 このとき、タオルを濡らすか、ハリスにまんべんなく唾をつけるかして、とにかく全体を湿らせておく。湿らせるのは、摩擦によって熱が発生するのを抑えるためである。せっかく糸グセが取れても、ハリスが劣化してはどうしようもない。

 最後になるが、ハリスの糸グセを取る本来の目的は、クロの食いをよくするためである。ハリスをまっすぐに戻し、万全の態勢で食い渋るクロに臨んでもらいたい。


* 磯に着いて、いざ釣り方を組み立てようというとき、まずウキから入る人が多い。が、果たしてそれでいいのだろうか。ウキは「仕事」をしやすくするためには必要不可欠なものだ。でも、私は釣らせてくれるのはウキではないと考えている。 なぜなら、ウキがなくても釣りはできるからである。
 一方、ラインはどうか。はっきり言って、これがなくても釣りができるという人はいない。こう考えると、ラインがいかに重要なアイテムか分かるだろう。だから、「まずラインありき」というのが私の持論である。
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