クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
018. 風が強いときはハリスをMAX10mとる。 【 池永祐二 】
 仕掛けの自然な流れを阻害する要因はいろいろだが、外的な要因としてはなんといっても風。風をうまく制することができれば、釣果は半分以上約束されたも同然である。 しかも、磯釣りに風はつきものである。無風の日に釣行できるなんて年に一回あるかどうかだから、風対策は常に頭に入れておかねばならない。

 風が強いとき、竿先を海面に突っ込んで構えることはよく知られている。これは、いうまでもなく、海面から竿先までの間の道糸を風にとられたくないからそうするのである。 この部分が風に吹かれると、沈もうとする仕掛けが浮いてしまい、狙いのタナにツケエが届かないという現象が起きる。 そして、この現象は、風が強いほど、流す距離が長いほど、ウキ下が深いほど生じやすい。 本人は入れているつもりでも、実際には入っていない。だから、釣れないというのは、よくあるパターンである。

これを防ぐには、

@ 竿先を海面に突っ込んで構える。
A ウキのトップを海面上に出さない。
B できるだけ糸フケを出さない。
C 仕掛けを重くする。

などが考えられる。

@、A、Bは、いわば基本であって、三つとも同時にやっておかねばならない手立てであるが、Cはどうか。場合によって、できるだけ軽い仕掛けで流したいというときもあるだろう。 そんなときに威力を発揮するのが10mハリスである。 つまり、通常4m前後とるハリス(フロロカーボン)を10mと長くとるというわけだ。サルカンは使えないから、道糸とは直結することになる。

 こうすることによって、なにがどう変わるか説明してみよう。 4mのタナを狙うとしてウキを鈎から4mの位置に固定すると、残るハリスは6mになる。通常の仕掛けだとこの部分はナイロンの道糸であり、表層近くを漂っているはずだ。 ところが、フロロカーボンハリスはナイロンより比重が重く、この6mの部分が沈んでしまうのである(図参照)。 この部分が沈んでいる分、風の影響を受けにくく、表層近くを漂っているナイロンの道糸に比べると、ウキの流れがまったく変わる。特に風と潮とが同じ方向の場合は、その差がはっきり出る。 風と潮が同一方向の場合、表層近くの流れが上滑りして、ナイロンの道糸だと丸ごと流されてしまうのだ。

 確かにデメリットもある。浮力をぎりぎりまで殺したウキだとハリスの重さで沈んでしまうので、人によっては釣りづらいかもしれない(沈めてゆく場合は問題ない)。それに、押してくる潮の場合は、手前がどんどん沈んでしまう。また、道糸の修正がやりにくいということもある。 そういったデメリットを差し引いてもなお、風に負けず、ウキの上滑りを防ぎ、軽い仕掛けが使えるというメリットは大きな魅力である。


* ハリスを10mとったときの道糸修正は、仕掛けを投入したあと、すぐに道糸を潮上に持ってゆくことが大切だ。あとは張らず緩めずで流すとよい。

 ハリスを10m以上とると、直結部のコブがリ−ルのスプールエッジに引っ掛かり、投入時のトラブルのもとになりかねない。 それを防ぐにはフロロカーボンの道糸を使うことである。もし、替えスプールに余裕があるなら、フロロカーボンの道糸を巻いておくのも−つの方法である。 その場合に注意しておきたいのは、足元近くの岩に道糸をとられないようにすることである。道糸修正に不慣れなビギナーにはおすすめできない。 つまり、MAXlOmというのは、釣るうえでそれが比較的使いやすいからである。つまり、風によっては8mでも7mでも構わない。

 いずれにしても、ウキの流れがコロッと変わるから、風で悩んだらぜひ一度試していただきたい。
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