クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 仕込み技編 】
020. カゴ釣りが隣にいるときは、飛ばせる仕掛けで勝負する。 【 丹羽正 】
 1匹の魚を釣るために、「いろんなアプローチの仕方があるのは当然である。同じ釣場に上がっても、ある人は固定仕掛けで釣るかもしれないし、ある人は移動仕掛けで釣るかもしれない。

 以前、チヌ釣りでこんな経験をしたことがある。 あれこれやっても全然釣れず、周りにもいっぱい釣人がいたけれど、全然釣れない。そんなときにひょっこり変なおじさんがやってきて、立ちウキに3号くらいのオモリをつけて足元にドボン。ハリスの長さは30mくらいしかなくて…。なんと、これにチヌが食ってきたのである。 これを「たまたま」というのは簡単だが、私に言わせれば結果的にはこの仕掛けが、この釣り方が正解だったのである。もちろん、その状況下においてはという条件がつくけれど。 この話の要点は、どれが正解かはやってみなければ分からないという点にある。 つまり、釣れないときは、間違ってもいいからなにかやってみるべきなのである。移動仕掛けは嫌いだからといって、固定仕掛けにのみこだわっていては釣れなくても仕方がない。

 ところで、隣がカゴ釣りだったらどうするか? フカセの自分には釣れなくて、カゴ釣りにはクロが釣れているとしたら。先の論理でいけば、カゴ釣りが正解ということになるのだが。 いろんなアプローチの仕方があるといっても、フカセ派はカゴ釣りに手を出す気にはならない。私もそうだし、この本の読者のほとんどが同じだと思う。

 というわけで、カゴ釣りに負けない方法を考えてみよう。 カゴ釣りにも上手な人と下手な人がいて、上手な人の場合は大体50m以上飛ばすから、フカセにとっての影響は少ない。 問題は、20〜30mしか飛ばせないカゴ釣師の場合で、こういう人は仕掛けの投入点が一定しないのが普通だから、ポイントはぐちゃぐちゃになってしまう。 対策としては、まずカゴ釣りに負けないくらい飛ばせる仕掛けを作ることである。手持ちのウキの中から一番飛びそうなものを選ぶ。 なければ、ウキを二個使ったって構わないし、でっかい水中ウキを併用したって構わない。とにかく超遠投することを念頭において仕掛けを作ることだ。 そして、これをカゴ釣師の投入点と同じラインまで遠投する。できれば潮下に釣座をとるほうがよいが、潮上の場合は相手が仕掛けを上げるタイミングを計って、潮下に流し込んでゆく。(相手が次の仕掛けを投げる前に自分の仕掛けを巻き上げるのは、相手がカゴ釣りであっても当然のマナーである) 要するに、カゴ釣りのコマセを利用して同じラインを釣ろうって寸法だ。

 自分のコマセは、基本的に足元にのみ打っておく。そして、絶えず注意を払っておき、このコマセにクロが浮けば、すかさず足元釣りに切り替えることを頭に入れておこう。足元で食いが立てば、カゴ釣師はお手上げになってしまう。

 もう一つの方法は、カゴ釣りは追いコマセができないし、手返しが遅いという点を突く。つまり、カゴ釣りは一投一投のインターバルが長く、コマセに切れめが生じるのだ。 コマセが切れると、魚は新たなコマセに注目する。これはクロも同じだから、インターバルの短い大量のコマセで、クロの注意をこちらに引きつけてしまうわけだ。 この方法の場合は、コマセを飛ばせるところまで思いきり飛ばして、その周辺を釣る。コマセの量は沖も足元も多いほうがよく、しかも間断なく入れる必要がある。                                                         
 以上述べたような方法を取れば、隣がカゴ釣りでも嫌がることはない。仕掛けの工夫、釣り方の工夫でなんとかなるものなのだ。食いが立てば、フカセのほうが圧倒的に効率よく釣れるのだから。 磯の上で喧嘩したり、いがみあったりすることほどつまらないことはない。「カゴ釣り、どうぞいらっしやい」くらいの気持ちで臨むことにしよう。
* 下手なカコ釣師の場合は、仕掛けの投入点がバラバラになるので、同じラインを攻めるといっても難しい場合がある。 しかし、潮にはメインの流れというものがあって、コマセは最終的にはその流れに集まってくる。どれがメインの流れかを見極めて仕掛けを投入すれば、問題ないと思う。

 こういうときのためにも・ウキは大から小まで、浮力の小さなものから大きなものまで、いろいろ用意しておきたい。手持ちがないときは、あるものを二つ、三つと使うことを考えよう。
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