クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
025. クロ釣りにも使ってみたいダンゴエサはこれだ。 【 石田順市 】
 クロ釣りにおける永遠のテーマの一つに、エサ盗り対策がある。寒の時期を除くと、釣人は常にエサ盗りとの戦いを強いられていると言ってもよい。 わんさかいるエサ盗りの下に型のいいクロが見えているのに、そこまでツケエを届かせることができない、といった状況に出くわした経験のある人は多いだろう。はっきり言って、これは悔しい。

 エサ盗りをかわすには数々の方法がある。仕掛け、ポイント、タナ、マキエの打ち方、ツケエなどなど…。それらの効果は確かにあると言えるものの、決定的な方法はない。自然相手の釣りは、やっぱり机上の計算通りにはいかないものなのだ。 ただし、細かいテクニックを必要とせずに、エサ盗りの中から大きいクロを狙って釣る方法はある。それがダンゴのツケエである。

 かつて、鶴見の磯で夏グロを釣っていたとき、こんなことがあった。 エサ盗りが多いことが分かっていたので、まず足元にマキエをじっくり効かせ、仕掛けは潮下に投入してクロを狙ってみる。 しかし、アジが多く、ツケエをボイルに変えても全然歯が立たない。そこで、マキエを集魚剤だけ(つまり生エサなし)にし、ツケエも浅ダナグレに海水を加えて作ったダンゴで攻めてみた。 生エサなしというのは、アジをかわすには有効な手段である。なんとか手の平級のクロが当たってきた。それからは、何投かごとに25pを超すサイズが釣れ出したが、状況としてはクロが浮いているのに食い込んでいかないといった感じだ。 なにかいい手はないかと考えていると、クーラーの中にイモちゃんダンゴを入れていたことを思い出した。これをバリ釣りの要領で小さく鈎先に乗せ、それをさらに浅ダナグレダンゴでくるんでみた。  なんと、これが大正解!一発でこの日最大サイズのクロが食い込んできた。

 このように、ダンゴのツケエは、エサ盗りの中から大きい型のクロを選んで釣るのにかなり効果がある。アジや手の平グロなどのエサ盗りをある程度はかわすことができるのだ。 そして、鈎先にイモちゃんダンゴを乗せることによって、さらに効率よく型のいいクロが狙えるのだ。 浅ダナグレダンゴといっても、ただ海水を混ぜただけではない。ダンゴを作るときは非常に微妙な水分の調整がいるし、練り方にもコツがあるのだ。 私は、釣場にも計量カップを携帯し、これでダンゴの水分調整をしている。人間の感覚はあてにならないので、ダンゴを作る可能性がある場合は、必ず計量カップを持参することをおすすめしたい。

 さて、作り方であるが、150ccのカップに、すりきり二杯の浅ダナグレを計る(150ccのカップといっても、最大目盛りが150ccのことなので、すりきり一杯を計ると実際には150cc以上の量になっている)。そして、それを洗面器などに移し、海水を70〜80cc注ぐ。 これを練り込まずに(ここがポイント!)、軽く混ぜればでき上がりだ。

 使うときは、イモちゃんダンゴ(手に入らなければチヌマックでもよい)を鈎先に小さく乗せ、それを浅ダナグレダンゴでくるむ。そのときの大きさは、親指の第一関節くらいである。 クロ釣りにはなるべくオキアミのツケエを使いたいところだが、エサ盗りが多くてどうしようもないとき、最後の手段として知っているとかなり重宝する。

* このタンゴを使用するとき、鈎は大きめがよい。具体的にはヘラスレ8号、チヌ鈎なら2号くらいである。 なお、このツケ工には、元ウキをフリーにして、ハリスウキをじわじわ沈めていく釣りが効果的。 ウキ下はほとんどの場合、一ヒロ〜一ヒロ半で通用する。
 この釣り方を試していたとき、たまたま投入に失敗して5mぐらい投入点がずれてしまった。 ところが、この失敗が効を奏してか、思わぬ良型が食ってきた。 これに味をしめた私は3匹ぐらい釣ったら狙うポイントをずらすように心がけた。 結果、コンスタントな釣果につながったことを追記しておく。


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