クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
028. マキエを咲きに打ち、あとから仕掛けを入れて良型を狙う! 【 池永祐二 】
 マキエには二通りの意味がある。一つは本命用、つまりクロにツケエを食ってもらうためのマキエ。もう一つは、エサ盗りにくれてやるためのマキエである。季節を問わずエサ盗りは多いのが現状だから、量としてはエサ盗り用が圧倒的に多い。

 エサ盗り用はさておくとして、本命用のマキエについて少し考えてみよう。 本命用のマキエは、ツケエと合わせるのが原則であるーというセオリーは、ビギナーでも知っている。 そうしたほうがよく釣れると知っているから、釣場で実践するわけだが、その方法はというと、仕掛けを投入したあと、ウキの周朗に二、三杯かぶせるのが一般的である。 平面的にはなんとなくツケエと合っているように見えるが、実際にはどうかというと、私はかなりズレているのではないかと考えている。 理由は、ツケエとマキエ(どちらもオキアミ)を比べると、沈む速度に大さな開さがあるからである。

 ツケエは、サルカン、ガン玉、ハリス、鈎の重さ、およびそれ自身の重さで沈んでゆく。 対してマキエは、それ自身の重さのみである。道糸が受ける風の抵抗を考慮してもなお、ツケエのほうが沈むスピードが速いのである。 したがって、仕掛けを投入したあと、ウキの周囲に二、三杯かぶせるという方法は、ツケエのあとを追う格好でマキエが沈んでゆくことになる(図@)。 もっとも、だから食わないというわけではない。だが、私の経験から言うと、型のいいクロはマキエがなくなる頃にスッと出てくるのである。 マキエにまず寄ってくるのはエサ盗りやコツバグロであり、それらがマキエをあらかた食い尽くした頃に型のいいクロがスッとマキエを食いにくる、そんな傾向が強いのである。 ただし、これは沖磯での話。湾内の場合は、逆に良型(30m)が先にマキエに突っ込んでくることが多い。広島流の同時打ち釣法もそのへんことを考えてのことなのだろう。

 それはともかく、沖磯ではマキエのあとをツケエが追っかける(図A)ほうが望ましいわけで、そのためには先にマキエを打ち、それがある程度沈んでから仕掛けを入れてやるほうがよいと思う。 ある程度と書いたのは、そのときどきの潮によってマキエの沈み方が違うからである。また、仕掛けが重いほどツケエは速く沈むので、マキエとのインターバルを長くとる必要がある。さらには狙うタナとの関係も考えておかねばならない。 具体的には、仕掛けを巻さ上げる前に一杯、ツケエを装餌するときに一杯、そのマキエがある程度沈んだことを確認して仕掛けを投入し、最後にもう一杯である(一杯といっても少量で、エサ盗り用の三分の一くらい)。 最後の一杯はツケエをサンドイッチにするためのもので、言わば保険。つまり、イメージとしては、縦にマキエの層を作るということになる。

 この考えをさらにふくらませるなら、一投前、二投前、三投前のマキエをイメージして釣ることも可能である。 また、自分が打ったマキエがどこにどう流れているかということを絶えず意識して釣るためのトレーニングにもなる。 仕掛けが先かマキエが先かと問われれば、マキエが先と私は答える。


* マキの中のオキアミには個体差があって、沈み方は異なる。また、潰した場合と原形の場合でも沈み方は変わり、潰したほうが速く沈む。 それでも、ツケ工のオキアミのほうが速く沈む。仕掛けが完全フカセでも同様で、ハリスと鈎の重さでツケ工のオキアミのほうが速く沈む。

 広島流同時打ち釣法については、「 クロ釣りの技 29 」 の大知昭さんの解説を参照のこと。
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