クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
029. 高活性時にやってみたいマキエ・仕掛け同時打ち釣法。 【 大知昭 】
 グレの活性が高いということは、同時にエサ盗りの活性も高いということである。もしもそこでエサ盗りを追い散らすほどグレの食いがよければ、これはもう釣人にとっては天国。なんの策も必要ない。 ところがコッパグレならいざ知らず、グレは型が大きくなればなるほど警戒心が旺盛ときている。それに比べてエサ盗りは集団で群れるから強い。わが物顔でツケエを次々にかっさらってゆく。

 その典型的な状況が夏の磯である。普通ならそんな時期に良型のグレを釣ろうなんて誰も思わないかもしれない。 だが、私のホームグラウンドである瀬戸内海では、あえてその真夏の時期にグレを釣る。コッパグレでなく、ちゃんと狙って30cm超や40cm級のグレを釣る。 そのために生れたのが遠投釣法である。グレは良型ほど警戒心は強いが、食い気そのものは十分。だからマキエを追う。

 同時に、手前よりも沖のほうが魚の警戒心は薄い。そこで仕掛けだけでなく、マキエも同時に遠投して、沖に良型グレを走らせて釣る。それが遠投釣法の基本だ。 もちろん、手前にエサ盗り用のマキエは打つ。沖に打つのはグレ用のマキエだ。その比率は、
エサ盗り用 5に対してグレ用 1というところ。

 それに、ただ遠投すればいいというものではない。できるだけ近くで釣るほうが釣りやすいのは当然だ。ただ、現実のエサ盗りの動きは凄まじく、少々の遠投では歯が立たない。 10m、20m、30mとだんだん距離が延びてゆき、その中からわずかな確率で良型グレを仕留めるというのが実際だ。

 そんなグレも、何匹か同じパターンで釣っているうちに、マキエが着水したときだけエサを食い、ツケエには見向きもしなくなることがある。一種のスレた状況だろう。 それを打破するために考えたのが、マキエと仕掛けの同時打ち釣法だ。片手にマキエヒシャク、片手に竿と仕掛けを持って、マキエを打った瞬間に仕掛けを投入する方法である。そんな器用なことができるかと思われるかもしれないが、練習すれば絶対にできる。最初は近い距離から練習すればいい。 実はこの釣法ですでにこれまで何匹も良型グレを仕留めているのである。

* 私のホームクラウンドの瀬戸内海は、冬場になると水温が極端に低下する。その時期、チヌは釣れるが、グレはまず釣れない。 逆に、夏はグレのほうがよく釣れる。 だから、私の地元での釣行パターンを大きく分けると、冬はチヌ、夏はグレということになる。
 夏の磯にエサ盗りはつきもの。自然に私のグレ釣りは、エサ盗りとの戦いになっていた。 遠投釣法は、生まれるべくして生まれた釣法なのである。


同時打ち釣法は練習しないと難しい。最初は近い距離からやってみよう。

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