クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
031. 数が出ないときは、マキエで焦らして釣る。 【 池永祐二 】
 動物に芸を仕込むとき、エサを使うエサを使うのは必定である。クロも似たようなもので、食わせのテクニックの一つに、マキエで焦らして釣るという手がある。魚にとっては、食うことと生きることはほぼ同義であるから、効果は高い。

 その方法を簡単に述べると、マキエの匂いだけが狙いのポイントに届くくらい手前にのみマキエをバンパン入れるのである。つまり、食べたいけれど、匂いだけでエサが流れてこないという状況を意図的に作ってやるわけだ。 狙いのポイントにマキエを一切打たず、仕掛けだけを入れて、三投、四投、五投とツケエが残るどうかを確認しながら釣る。

 で、ツケエが積ったら次の一投は少量のマキエをポイントに入れて釣る。クロはこの一投で食ってくることが多い。 それで釣れたら、そのまま少量のマキエをポイントに入れながら釣り続けるが、再びツケエの時点でまた焦らし作戦を開始する。この方法は、食いが悪いながらもぼつんぼつんと食ってくるようなときに、とりわけ効果的である。 逆にエサ盗りが見えず、クロも見えず、一投目からツケエが残ってくるような場合は、セオリー通りツケエを盗られる層を探ってゆくしかないが、ツケエがなくなる層が分かり、なおかつクロが釣れないようならこの焦らし作戦はいける。

 また、エサ盗り対策の一つとしても使える。 エサ盗りが多いときは、エサ盗りにのみマキエを与え、エサ盗りたちの就餌活動が気になって仕方がないという状況を作り出すわけだ。

 いずれの場合もツケエが積ったあとの一投が要であり、このワンチャンスに賭けるという気持ちで釣ることが大切である。 注意すべきは、低活性時はマキエの回数は同じでも一回の量を減らすこと。カップ一杯打つところを半分とか三分の一とかに減らすわけだ。 理由は、低活性時はエサ盗りが少ないので、打ったマキエがすべてクロの口に楽々入ってしまうからである。 そうなると、エサ余り状態になってクロは競争しない。浮いてまでエサを追う必要もないから、底のほうでエサをつつくだけ。ウキに出る当たりも小さく、焦らし作戦も効果薄になってしまう。 その意味ではマキエビシャクも無造作には使えない。カップの大きいもの小さいものを使い分けるとか、自分でカップの容量を小さくするといった配慮が必要である。

 私は、がまヒシャク・マキーナを使っているが、カップの周囲を3mmほど削って容量を小さくしている。 かつてはマキエをバンパン打ってクロを狂わせてしまうという手が普通だったが、それはクロの絶対数が多かった頃の話。 現状では、コッパグロは別にして、クロがマキエに狂って乱舞するなんて光景はなかなかお目にかかれない。焦らし作戦は、大量マキエの対極の食わせ技だと言える。


ヒシャク一杯のマキエも無造作に打ってはいけない。とりわけ沖に打つマキエは計算づくで打つべきである。その意味ではマキエビシャクも遠投性やカップの大きさなど吟味して使う必要がある。



ツケエが残ったあとの一投が要であり、このワンチャンスに賭けるといった気持ちで釣る。そのときのマキエは量を考えねばならない。
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