クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
034. 仕掛けは置くもんや。ほうるもんやない。 【 松田稔 】
 オキアミというエサは魚の食いがいい代わり、非常に柔らかいという特徴がある。そのため、鈎の刺し方だけではなく、投入方法にも気を使わないと、鈎からズレたり、はなはだしい場合は鈎から落ちてしまう。 したがって、オキアミにショックを与えず、水面に置くように優しく投入しなければならない。つまり、ラインとツケエを一体化させて、仕掛けを投入したとき、ツケエにかかるテンションを変えずに飛ばすことを心がければよい。

 具体的に言うと、鈎のすぐ上のハリスを持って、ウキが穂先の2mほど下に位置するまで道糸を巻き込む。そして、竿を後ろに回し、竿先から鈎までラインをピンと張る。そのままの状態で竿をサイドから前方へ振る。 それと同時にハリスを放してやれば、仕掛けは遠心力で飛んでゆく。 ツケエから竿先までをピンピンに張っているから、その状態を維持して竿を振れば、オキアミにはショックが伝わらない。

 ところが、ラインが1pでも2pでもたるんでいると、指先からハリスを放したときオキアミにショックが伝わる。そのため、シャクったのと同じ状態になり、オキアミがズレたり、鈎から落ちたりする。 この現象は、軽いウキを使ったり、向かい風のとき仕掛けを遠くに飛ばそうとして力いっぱい投げたとき、つまりほうったときに起こりやすい。 だからといって、横風が吹いているとき、これに乗せて仕掛けを飛ばそうとして風上側から投入すると、大半は仕掛けが絡む。横風の場合は、必ず風下側から竿を振らなければならない。 このように、仕掛けを投入する際は、エサ落ちだけではなく、仕掛け絡みにも注意しなくてはならない。

 ほうらずに遠投するのは、実は不可能ではない。 通常は右手で竿を持ち、左手でハリスをつまむが、遠投する場合は両手で竿を振る。ハリスからは手を離している。それでも置くことに変わりはない。 もっとも、超遠投する場合は置くことにこだわると、仕掛けは飛ばせない。といって、仕掛けだけを遠くに飛ばしても、マキエが飛ばなければ意味がない。つまり、マキエが飛ぶ範囲なら置くことは可能と言える。

 投入してから、仕掛けが水面に落ちる寸前にブレーキをかけると、着水した時点で仕掛けは一直線になっている。これが、グレに食わせるための張りへと展開される。このように、一つ一つの行動は必ず次の段階と関連している。

* 仕掛けの投入方法が悪いと、ショックのためオキアミがズレる。それがなぜ悪いかを説明しよう。 グレの食いが悪いとき、マキエを拾ってもツケエを食わないことがある。グレがどうやってマキエとツケエを区別しているのかを知りたくて、ずっと観察してみた。 そのときは天気がよかったこともあり、ツケエに刺した鈎のみみがキラッと光り、クレはそれを嫌っていたことが分かった。 それ以来、ツケエに鈎を刺すときは、オキアミの尾の付け根の一番硬い部分に耳まで押し込んでいる。 仕掛けをほうるとせっかく隠した耳が出るし、鈎が小さくてもやはり耳が出やすい。 もっとも、大きい鈎を使って置くように投入しても、鈎の耳が出るのを100%防ぐのは難しい。 そこで、鈎メーカーに、写のない鈎を作らせたことがある。レーザーで穴を開ければ不可能ではないのだが、コストがかかりすぎるため実現はしなかった。
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