クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
035. 仕掛けを早く沈める投入法とゆっくり沈める投入法がある。 【 松田稔 】
 仕掛けを投入するときは、着水寸前にブレーキをかける。すると手前にウキ、沖に鈎が落ち、しかもその間は直線になり、仕掛けは張れた状態で絡みも少なくなる。だから、常にこうしなければならない―この常識は広く普及している。 これはこれで間違いではない。しかし、なにも考えず、一年中同じことを繰り返してはいないだろうか。

 最初に誰かから教えられた「ウキが手前、ツケエは沖」をなんの疑いもなく続けているとしたら、そこにはなんの進歩も見られない。 たとえば、ツケエをウキの潮上に落とした場合と潮下に落とした場合は、どこがどう変わるか。それを試そうとする気持ちがまったく湧いてこないのだろうか。

 図を見れば分かるように、ツケエをウキの潮上に落とせば仕掛けは早く沈む。逆に、ツケエをウキの潮下に落とせば、仕掛けはゆっくり沈んでゆく。 足元をかすめた速い潮が沈み瀬に向かって流れていて、仕掛けを流せる範囲が狭いとき、仕掛けは早く沈めて一分一秒でも早くなじませたい。こんなときは、当然ツケエをウキの潮上に落とす。 上層にエサ盗りが多いときも、同様に仕掛けを早く沈める。 このとき、釣座が図の右方法にあれば、ウキが先、ツケエは手前という常識に逆らった投入方法となる。

 エサ盗りが少ない時期で、仕掛けをゆっくり沈ませたいときは、反対にウキの潮下にツケエを落とせばいい。 エサ盗りがどの・方向からやって来るかを知りたいときも、ツケエの着水点をコントロールする必要がある。 マキエを入れたら、その真ん中にウキが落ちるように仕掛けを投入する。このとき、ツケエを落とす位置をいろいろ変えてみる。ウキを中心にして、3時の位置に落としたら次は9時の位置に落としてみる。

 そうやって、いろいろ投入点を変えてみて、ツケエがなくなる時間を計る。特に速いところ、遅いところが、必ずとは言わないまでも、大体ある。ツケエが速くなくなる方向にエサ盗りの住みかがあると思ってよく、その反対に落とせばツケエが食われる時間は遅くなる。 もちろん、エサ盗りの種類にもよるが、ツケエが一秒でも長く持てば、グレの口に届く確率は高くなるものである。 このように、ツケエを落とす位置は状況によってさまざまに変わる。そのためには、ツケエをウキの右・左、手前・沖と、好きなところに落とせることができなければならない。


* ウキを遊動状態にしているときは、竿先で道糸を操作することによって、同様に早く沈ませたりゆっくり沈ませることができる。 仕掛けが沈むのを妨げるのは、まず道糸とウキの摩擦である。次に、運糸が更ける風や流れの抵抗がある。したがって、ウキの穴を通りやすいように運糸を高くしてやれば、摩擦は減って早く沈む。 運糸が受ける風や流れの抵抗を減らすには、風下、潮下側に膨らまないよう、小まめに風上側、潮上側に切り返す。
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