クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
036. 仕掛け投入時のサミングや引き戻しを怠るな! 【 池永祐二 】
 道糸には常に風や海面の流れの抵抗がかかる。その抵抗はウキに伝達し、さらにツケエへと伝わってしまう。その結果、ツケエが狙いのタナへ届かなかったり、ツケエがマキエの層から外れてしまったりする。 ビギナーのうちは、そのことに気づかないで釣っていることが多く、釣果に恵まれない。

 順番に説明すると、まず道糸がウキを引っ張って流れているのはよくない。これは、ビギナーにも分かると思う。 では、単にウキが道糸を引っ張っていればいいかというと、そうではない。道糸とウキの関係の次は、ウキとツケエの関係を考える必要がある。

 潮の流れは、風がなくとも表面の流れのほうが速い。その流れにウキを乗せるわけだから、どうしてもウキが先行し、ツケエはウキに引っ張られる。 場合によっては、ツケエがマキエよりも速く流れてしまい、クロが食ってくるチャンスが少なくなってしまう。また、ウキがツケエを引っ張ることで、狙いのタナにツケエが入っていないことも多い。 この状態は、ウキのトップが潮下に向いていること、ウキがころころと落ち着かないこと、仕掛けを巻き上げるときに軽いこと、などで見極めることができる。また、仕掛けを上げるとき、ツケエがウキの潮上から上がってしまうなどもその代表例である。 つまり、道糸やウキが海面で受ける抵抗を極力少なくするためにラインコントロールが必要なのだ。

 ツケエとマキエが合いながら、ツケエがウキを引っ張り、ウキが道糸を引っ張って流れるようイメージしながら釣ることが重要なのである。 簡単に言えば、ウキのあとから道糸が流れるようにラインをコントロールすればよく、それができていれば、アクションをほんの少しっけることによって、ウキからツケエまでの張りを作ることもできるし、誘いも楽にできる。 ラインコントロールができていないのに、張りや誘いを入れると、わざわざツケエとマキエの同調を外して釣ってしまうことにもなりかねない。

 以上のようなことをいつも意識している釣人とただ漫然とウキを流している釣人とでは、釣果に差が出るのは当然である。 ラインコントロールの前段階として、ビギナーに多く見受けられるのが、「やりっ放しの投入」である。

 投入を行うほぼすべての釣りは、仕掛けが着水する寸前にサミングを行い、慣性による道糸の放出を防ぐのが当然のことなのだが、それができていないことが多い。 着水前のサミングなどというと、非常に初歩的な技術で軽視されがちではあるが、仕掛けの絡み防止・着水音の減少・ツケエの有無確認・スムーズなツケエの沈下・道糸のフケ防止などなど、釣れにくくなる要因を取り除く重要な作業なのである。 サミングは、仕掛けが着水する前に、指先でリールのスプールを軽く押さえればよいので癖をつけてしまうとよい。 なお、投入の際、ウキを見ている人が多いが、ツケエの着水を確認すべきである。

 仕掛けを投入したら、今度は仕掛けを引き戻す。多くの釣人は、仕掛けを投入した地点からウキを流し始めることが多いようだが、これだと道糸の操作が困難になる。 仕掛けは、ツケエ・ガン玉・ウキ・道糸の順で流れてゆくことが重要なので、仕掛けを投入したら、流し始める地点までウキを引っ張ってきながら、同時に道糸をウキより少しでも潮上にもってゆく。 これをやることで、その後の操作によるツケエとマキエの不一致を少なくすることができる。10m流れてツケエとマキエが外れるよりは、15mまで外れないほうがクロの食ってくる確率は高くなる。 投入時のサミングや投入直後の引き戻しといったラインコントロールは、その後の仕掛けの流れ方に大きく影響を与えるので怠ることのできない作業だという認識が必要である。
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