クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
040. 狙ったポイントに流れるまでに仕掛けをなじませよう。 【 石田順市 】
 クロ釣りをしていて、ときどき、ポイントにダイレクトに仕掛けを投入している人を見かけることがある。その場合、ウキは間違いなくポイントにあるわけだが、はたしてツケエは狙いのタナに届いているのだろうか。

 着水直後の仕掛けは、そのままなにもしなければ水中でグチャグチャの状態になっている。また、うまく仕掛けが一直線になるように投入したとしても、狙ったタナまでツケエが沈むまでには時間がかかるのである。 大きなオモリで一気に沈めれば、すぐになじむかもしれない。しかし、ダイレクトにポイントに投入すれば、魚を驚かせかねない。これは、より細仕掛けを使い、繊細さにこだわる現代のクロ釣りとは矛盾しているように感じてならない。 まったく潮が動いていない状況なら、そのまま待っていれば仕掛けは勝手になじんでくれる。しかし、そんな状況はほとんどないし、あったとしてもクロが食ってくることはごくまれだ。

 そこで問題になるのは、潮が流れている場合である。潮が動いているときに、仕掛けをポイントにダイレクトに入れると、なじむ間もなくポイントを通り過ぎてしまう。これでは、みすみすポイントを外して流しているようなものだ。 したがって、仕掛けはポイントより湖上へ投入しなくては意味がない。そして、ポイントに到達する前に、なじんだ状態にしておくのである。 誘ったり、張ったり、緩めたりの仕事を始めるのは、仕掛けがなじんでからである。つまり、それからが本当の勝負なのだ。だからこそ、ポイントに流れるまでになじませておく必要があるのである。

 クロ釣りに関していえば、マキエにも細心の注意を払わなければならない。チヌならば、必ずしもツケエとマキエがぴったり同調した状態でなくても食ってくる。しかし、クロはそうはいかない。 ツケエとマキエを合わせないと、まずよい釣果は望めないからである。 したがって、なじんだ仕掛けがポイントに到達したとき、マキエがぴったりと同調するように計算して打たなくてはならない。そのためには、風や潮流に道糸が引っ張られることなど、さまざまな要因を考慮しておく必要がある。 このとき、マキエを点で打つと、当然ツケエと合わせるのが難しくなる。ならばどうすればよいかというと、拡散しやすい集魚剤を使って、ばらけさせるのである。広い範囲に打つと、その分だけ同調する範囲も広がる。マキエビシャクはカップの小さいものを使い、打つ回数を増やすようにするとなおよい。 しかし、いくら回数を増やしても、同じ場所にまとめて打ったのでは意味がない。横流れのときを例にとると、図のように流れに対して垂直に幅を作って打つのがコツだ。そうしておけば、その分だけ長い時間、マキエと合わせることができるのである。

 まとめると、仕掛けとマキエをポイントの狙ったタナでいかに合わせるか、そしてその状態をどのくらい持続できるかに尽きると言えよう。

* みなさんがマキエを投入する位置やタイミングは、ワンパターンになっていないだろうか。 私は、このワンパターンの攻め方ほどバカバカしいことはないと思っている。ずっと同じことをやっていては釣技が進歩しないし、パターンを変えたときというのは、クロが食ってくる可能性が非常に高いのだ。極端な言い方をすれば、私は一投ごとにパターンを変えてもいいと思っているくらいである。

 たとえば、一回の投入につき三杯のマキエをするとしよう。そのとき、単純に三杯続けて打つだけでなく、仕掛けを入れる前に一杯、着水直後に一杯、流している連中に一杯とか、いろいろリズムを変えて実験してみるべきである。 たった三杯のマキ工でも、そのタイミングと投入位置の組み合わせは無数にある。ぜひ、実際に試してみて、状況に合ったパターンを見つけ出してほしい。
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