クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
042. 「タナを探る」という意味をもう一度考えてみよう! 【 池永祐二 】
 ウキ下三ヒロの遊動仕掛けで釣るというとき、釣人はどんなイメージを持っているのだろうか。

 ここで、図Tを見ていただきたい。Aはハリスニヒロ、遊動一ヒロの仕掛けが完全になじんだ状態であり、ツケエは潮に乗って@の線上を水平に移動している。 このとき、ウキ下を一ヒロ深したらどうなるかというと、単に一ヒロ深くなった@の線上をツケエが水平移動するにすぎない。 これでゆくと、@とAの間の一ヒロはほとんど探っていないことになる。それに気づいた釣人は、不安になって一ヒロではなく、30cmずつウキ下を深くしてゆくかもしれない。 しかし、ウキ下三ヒロで釣るというのは、実際には図Uのように、BからCのタナを探っているのである。 潮に乗せて流しながら、この幅を釣っているのであって、@のように三ヒロの線上のみを釣っているわけではない。

 たとえば、図Uの場合、潮の速さや風の強さ、あるいはガン玉の重さなどにもよるが、大ざっぱに言えば、着水したツケエがBのガン玉の位置まで沈むのに約二十秒ほどかかるとみてよい。そして、大切なのは、勝負はすでにここから始まっているということなのだ。 条件にもよるが、Bの地点からツケエがCの三ヒロの位置まで沈むのに、通常約五十秒から六十秒ほどかかる(完全にツケエがなじんだ状態)。 このBからCのまでが最初の勝負どころであり、この間のツケエの落ち込みでクロは食ってくることが多い。もちろん、この間にエサ盗りにやられることだってあるが、それはそれで仕方がない。 そして、ツケエが残っていれば、そのあと初めて図Tのように水平移動で流してゆくことになる。場合によっては、途中で誘いをかけて、再びツケエの落ち込みを演出することだってあるだろう(これも大切)。 よく狙いのポイントに流し込むといった表現をするが、これは狙いのポイント―たとえば、沈み瀬周りや潮が変化するところなど―に仕掛けがさしかかったときに、BからCにかけてのツケエの落ち込みを演出するという意味もあって、完全になじんだ仕掛けをただ通過させるという意味ではない。

 単にイメージの問題かもしれないが、少なくともこういうイメージを絶えず頭に描きながら仕掛けを流していないと、「タナを探る」という遊動仕掛けのメリットが、狭くなってしまうのである。


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