クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
043. 風が強くて仕掛けを流せないときはL字釣法の出番。 【 田中釣心 】
 ウキ釣りをするうえで必要不可欠のウキと道糸が、ある状況下では非常に厄介なものになる。いうまでもなく、その状況とは強風である。 上級者なら、そんな状況でも上手にラインをコントロールして仕掛けをなじませることが可能かもしれないが、初心者〜中級者には難しい。 そのような場合、私は「L字釣法(旧N字釣法)」で釣るようにとアドバイスしている。

 これは、初心者でも風を苦にせず釣れるという観点で考えたもので、難しいラインコントロールは一切省ける仕組みになっている。 仕掛けは図の通り。二段ウキと似通っているが、相違点として大きなウキと重たい水中ウキを使っていることが挙げられる。 風が強くて釣りづらいのは、仕掛けが風の抵抗に負けて流されるから。これを克服するには仕掛け全体を重たくし、安定性を高めるのが一番手っ取り早いのだ。

 この仕掛けは、安定性を確保するため、大きなウキと重たい水中ウキで引っ張り合いをさせている。 水中ウキの重さに関しては、基本的に重ければ重いほどよいと考えているが、竿の硬さや道糸の強度などとのバランスを考える必要がある。私は風やウネリに合わせ、3B〜2号までを使い分けているから、これをだいたいの目安にしてほしい。

 一方で、このように仕掛け自体が重たくなると、魚が食い込んだときに掛かる抵抗が気になってくる。ところが、この「L字釣法」の真骨頂が発揮されるのはここからだ。つまり、「食わせる」という点でも非常に優れているのだ。 まず、大きなメリットとして、マキエとの同調がたやすいという点が挙げられる。近年、人気を集めている二段ウキと仕掛けと同様に、先ウキで中層の潮を捕らえ、マキエと同じ潮筋を追うことができる。 また、先ウキが少しずつ沈むように浮力を調整すれば、中層から深ダナまでを自動的に探れるというメリットも覚えておいてほしい。

 さらに、食い込み時の抵抗の小ささもメリットの一つに数えられる。 魚がツケエをくわえ、引っ張った瞬間に動くのは先ウキとハリスだけだ。つまり折れている部分が伸びるだけ。元ウキの抵抗は、この部分が伸び切った時点で初めて掛かる仕組みになっている。 魚が食い込んで抵抗が掛かるまでにこれだけの余裕があれば、警戒心が強い最近のクロも十分に鈎掛かりして、大きな元ウキを一気に引き込んでくれる。ひいては元ウキの視認性と相まって、合わせのタイミングが取りやすくなるのだ。 大きなウキや重たい水中ウキも、使いようでは、このように繊細な釣り方に利用できる。もちろん、べ夕凪、無風といった状況では、このような釣法を持ち出すまでもない。

 最後に、一つだけ注意しておくが、「L字釣法」で釣っているからといって、風の抵抗をまったく受けないというわけではない。依然として、道糸には大きな抵抗が掛かっているのだ。これを忘れると、道糸に引っ張られて仕掛け全体が狙いのポイントから外れてしまう。 穂先を海中に突っ込んだり、サスペンドタイプの道糸を使ったりといった横合技を駆使して、条件を問わず、コンスタントに釣果を上げよう!


* まったくの初心者に釣りの楽しさを教えるときは、このL字釣法が最適。マキエとツケエの同調は、自動的にできるし、元ウキが大きいので合わせも簡単。 効率はやや劣るが、凪の日なら糸フケを出していさえすれば、クロを手にすること間違いなしだ。
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