クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 1 】
044. 風の影響を受けにくいのも沈め釣りのメリットである。 【 三原憲作 】
 いくら道糸を沈めても、風が強いとウキがその抵抗を受け、潮筋から外れてしまう。その結果、マキエからかけ離れ、いつまで経ってもグレの当たりは出ない。 そこで、ウキを水面ぎりぎりにする、いわゆるシブシブ状態にして風の影響をできるだけとどめ、同時に感度を最大限生かす使い方が考えられた。 しかし、これでも、風の影響からはまぬがれない。強い風は表層の海水を運び、吹送流と呼ばれる流れを生む。ウキが水面に浮かんでいる限りはこの流れに乗る。

 グレの活性が非常に高く、この吹送流の範囲内まで浮上すれば問題はない。 が、そこまで浮くのはまれであり、グレの通水温期であっても二〜三ヒロまでしか浮いてこない現状を見れば、楽観するわけにはいかないだろう。 つまり、仕掛けは、水深二〜三ヒロより下の流れに乗ってほしいわけで、そのためにはウキを沈めるのが一番手っ取り早い。水中ウキを利用する方法もないわけではないが、それだと上ウキが風の抵抗を受けることに変わりはない。

 もともと、沈め釣りの目的はタナを探る点にあった。が、このように、風の影響を受けにくいという派生的なメリットも生まれた。したがって、その派生的なメリットを生かした釣り方も不可能ではない。 ウキを水深一ヒロまで沈ませ、風や吹送流の影響を受けないようにしておいて、それ以上沈めば道糸を張って浮かせ、再び送り込んで沈ませる。これを繰り返せば、わずかな上下動だけでほぼ同じタナを流し続けることができる。 つまりは、これが沈め釣りの基本であり、基本に忠実であれば風の影響を受けることはほとんどない。

 ただし、沈め釣りの原則である「ゆっくり沈める」ことは、必ず守らなくてはならない。いろいろなところで紹介しているのだが、もう一度おさらいしておこう。 仕掛けがなじんですぐウキが沈み始めたとしたら、それはガン玉が重すぎる。もっと小さくしなければならない。

 理想的な状態とはこうだ。 波が来たら、ウキは水面下に潜る。波が去ってもウキは水面からの距離が同じままで、浮上はしない。 次の波が来たら、さらにウキは潜る。当然、波が去ってもウキは同じ水深を維持している。 このようにして、ウキはほんの少しずつ沈んでゆく。

 スリムタイプのウキだと、どうしても沈むのが速くなりすぎるから、ガン玉調整が非常に難しい。その点、三原ウキスペシャルは、ボディがずんぐりしているから速く沈むことはなく、潮にも乗りやすい。沈め釣り専用ウキだと思ってほしい。


沈め釣り専用ウキと言ってよい三原ウキスペシャル。水中における安定性をなによりも優先させている。

* 仕掛けを送って沈ませたら引き上げ、また沈ませて引き上げることを繰り返せば、ウキと鈎との問に張りを作ることにつながる。現在のグレ釣りはこれが非常に大切で、どんな仕掛け、どんな釣り方でも張りは必要だと言ってよい。 しかし、沈め釣りでは、張りすぎると仕掛けが沈まない。といって、無闇に送るとハリスはたるんでしまう。このへんの兼ね合いが難しいところだが、沈めたり引き上げたりを繰り返せば、自動的に張りができる。
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