クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
045. 当たりがあるのに、途中で離すときは仕掛けを張る。 【 松田稔 】
 グレはツケエをいったん口にしても、抵抗(違和感)を感じると吐き出すことがある。吐き出さないまでも、そのままじっとしてそれ以上食い込まない場合もある。特に、食い渋ったときはそんな傾向が強い。

 では、グレがツケエを口にしたとさにかかる抵抗とは、なにに原因しているのだろうか?多くの人がウキと答えるに違いない。確かに、ウキも大きなファクターである。 それなら、ウキは少しでも抵抗が小さいほうがいいのか?

 ここに、直径が大きくて15の抵抗があるウキと、直径が小さく抵抗は10しかないウキがあったとしよう。感度だけを見れば、当然後者のほうが勝っている。 しかし、いくら感度のいいウキを使っていても仕掛けが緩んでいれば、魚がツケエをくわえて泳ぎ出した途端それまで0だった抵抗が10になるとすると、活性の衰えているグレはエサを離す可能性が高い。 逆に、抵抗が15のウキでも、ツケエをくわえてから動き出したとき、ずっと同じ15のままだったら、途中で魚が離すことは少ない。

 同様のことはガン玉についても言える。ガン玉と鈎の間が緩んでいると、グレがくわえたときの抵抗は小さい。だが、魚が泳ぎ出すと緩んでいる部分が次第に張り、ガン玉の抵抗が急にかかる。 ウキの抵抗ほど大きくないにしても、0の状態から3〜5の抵抗がかかるのだから、魚にとってはショックに違いない。 さらに、ここでグレが離さなかったとしても、次はウキの抵抗が加わる。

 このように、二段階で大きな抵抗がかかれば、食い渋ったグレがツケエを離す確率はさらに高くなる。

 では、どうすればいいか―。仕掛けを張るしかない。ウキからツケエまでが一直線になっていれば、魚がくわえた瞬間から鈎にはガン玉〜ウキの抵抗がかかっている。そのため、魚が走り出しても抵抗は変わらない。 二枚潮、三枚潮で仕掛けが張りにくい状況というのはある。しかし、それでもなお、魚を釣るには仕掛けを張るしかないのである。 潮の流れと風の方向が逆だと、この張りが勝手にできるから非常に釣りやすい。反対に、潮と風が同じ方向の場合は、仕掛けを張るのに苦労する。 道糸を操作してウキが速く流れるのにブレーキをかけなければならないが、ブレーキをかけすぎると今度はマキエと合わなくなる。 そんなときは、ウキを沈めて風や吹送流の影響を受けないようにしたほうが話は早い。


* 仕掛けを張ると、グレが途中でツケエを離すことが少ないのに加えて、仕掛けが早くなじむというメリットがある。 道糸にブレーキをかけた状態で仕掛けが着水すると、その時点ではウキと鈎の間が真っ直ぐに張られている。 しかし、ウキを遊動にしていると、大半の釣人はそこで道糸を送る。すると、真っ先にガン玉が沈んで定位置に到達する。ツケエはそのとき、まだ上のほうにある。 それからゆっくりツケエが沈んでいって、ガン玉と同じ深さまで達して、ようやく仕掛けがなじんだと言える状態になる。

 それに対して、仕掛け着水後に道糸を送らずにいるとどうだろう。ガン玉が先に沈むのは変わらないが、浅ダナであるにしろ、仕掛けがなじむ(ウキ、ガン玉、鈎間にたるみがない状態)のは、前者に比べてはるかに早い。それからゆっくりと道糸を送ってやれば、仕掛けはなじんだままで沈んでいく。 もっとも、仕掛けのなじみが早い・遅いだけをとらえてはいけない。あくまでも、マキエと合わなければ効果がないことを付け加えておく。
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