クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
048. 糸フケを多めに出しておけば、竿の角度120度で合わせが効く。 【 宮川明 】
 大物を取るために欠かせないテクニックが竿のタメである。これができてなければ、竿とラインの能力を30%も発揮していないことになる。 だから、実際に取れる・取れないは別にして、常に竿尻を魚に向けるつもりでタメる。すると、竿の弾力が生かせるから、魚は自然と浮いてくる。

 カーボン竿は昔と違って反発力が強いから、タメてさえいたら魚は浮いてくるのである。魚が浮いた分、余った道糸を巻き、またタメを作る。これを繰り返せば、どんな大物でも足元に浮いてくる。 もちろん、どうしようもない大物もいる。タメきれずにノサれ、竿を立てるため糸を出せば、そのうち根ズレすることもある。 だが、合わせた瞬間、魚に突っ込まれて、タメを作ることもできずにバラしたというケースなら、それを防ぐ方法はある。それが、糸フケを出しておくというやり方だ。

 通常、ウキが沈むのを見て合わせる場合、その準備段階として糸フケは最大限巻き取る。竿を立てて道糸を引っ張り、その運動を確実に鈎まで伝えるためである。 ところが、相手が大きくて、しかも沖を向いて走っていれば、合わせは効いても竿を立てることができない。即座に道糸を出せば竿を立てるのは不可能ではないが、合わせるという瞬間的な行為で魚の大きさと走る方向を知り、それに応じて道糸を出すか出さないかを判断するのは神業に近い。 その点、合わせて竿を立てた時点で120度の角度になっていれば、その後はどうにでもできる。魚が小さければ、グイグイ巻き取ればいい。大きくて沖を向いて走っていれば、そこでタメを作ることもできる。 そのためには、合わせる直前に糸フケを巻き取ってしまわないことである。道糸は伸びるから、距離によって相当なバラつきがあるが、これくらい糸フケを出していれば、合わせたとき竿は120度の角度を保持できるという感覚を養う必要がある。

 ただし、タメを作ることができて魚が浮いてきたからといって、もう竿の角度を保持する必要がなくなるわけではない。 大きい魚ほど、諦めずに何度も何度も抵抗を試みる。特に、オナガの大物は最後の瞬間まで諦めない。 そのため、ポンピングするときは極力竿を倒さない。せいぜい倒しても90度までで、120度から90度まで30度倒す間に、リールは、僕の場合ハンドルを五回巻く。 竿を思いきりタメた状態でいると魚が浮いてくる。その分、道糸に余裕ができるから、もう一度思いきりタメるために道糸を巻き取るのだと考えてほしい。したがって、もともと竿の角度を変える必要はないのである。


* タメてから書き取りに移る際、注意してほしいのが、一呼吸おくことである。 思いきりタメたあとはすぐに書き取るのではなく、一呼吸、間をおく。その一瞬の間に、相手が次はどう動こうとしているかを読むのである。
 いい例が、合わせた直後に見られる。僕の場合、ペールを起こしたままで合わせ、簡単には取れないと判断したらフリーの状態で糸を出す。そうするまでのことはないと思えば、ペールを倒して巻き取りにかかる。 そんな判断を、一呼吸の間に下すのである。
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