クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
049. 食いが渋いときの合わせのテクニックについて。 【 倉掛義照 】
 最近の寒グロ釣りには三つの合い言葉がある。すなわち、タナが深い、時合が短い、食いが渋いがそれ。釣行すれば必ずといっていいほど、これらの言葉を耳にする。 逆に言えば、この三つをうまくクリアすれば、釣果は確実ということになる(もちろん、それだけではないけれど、とりあえず)。

 で、ここでは合い言葉の三つ目、食いが渋いということに関連する合わせ方について、私見を述べてみたい。というのは、「合わせのタイミングが分からない」という声もまたよく耳にするからである。 合わせのタイミングが分からないというのは、多分こういうことなのだろう。つまり、当たりはあるものの、鈎に掛からない・・・。だから、どの時点で合わせを入れればいいのか判断に迷う。 向こう合わせで竿先にガツン。これならビギナーにだって分かるが、ウキがいったんもぞもぞしたあとスパッと消し込むとか、ゆるゆると沈んでいって途中で止まったままとか、当たりの出方はそのときどきによって千差万別。 これは、単に潮だけじゃなく、水温、クロの活性、仕掛け、ウキの感度、ポイント、ウキ下、ツケエなどによっても変わってくる。そのため、こういうときはこうすればよいとは言えない。

 結論を先に書けば、まず自分なりの合わせのスタイルを身につけ、合わないときに使うパターンを作ることである。 たとえば、寒の時期に多いのは、ウキがごくゆっくり沈むという当たりである。このとき、途中で沈むスピードが速くなれば、それはクロが反転した証拠だから、その時点で合わせれば乗ってくることが多い。 ところが、スピードも変わらず、途中で止まってそれ以上入っていかないこともある。また、ウキが視界から消えるまで待って合わせて、空振りに終わることも。 そんなときは、まず深く沈んだ時点で合わせてみる⇒ダメなら竿先で聞いてみる⇒ダメな送ってみる⇒ダメならウキが沈む瞬間に合わせてみる、といったパターンを自分なりのやり方で構わないから決めておくことである。

 参考までに私の合わせの基本スタイルを書いておくと、穂先で聞いてやって二番でグイッと乗せ、三番、四番でグ〜ンとタメるというものである。 次に合わせのパターンはというと、当たりだと思った瞬間に聞いて、軽く手首を返すような感じで合わせを入れてみる。 これは、ウキがもぞもぞしただけのこともあるし、わずかに沈んだだけのこともあるし、ゆるゆると沈み始めたときのこともある。とにかく自分が当たりだと思った瞬間に合わせるのである。 それでダメなら、次は沈む途中で聞いてやる。ダメなら深く入るまで待って聞いてやる。それでもダメなら道糸を少し送ってやる。こういうパターンを使うことが多い。

 ここでは、単に「聞いてやる」としか書いていないが、具体的には食いが渋いときほどソフトな聞き方をしなければならず、私の場合は、穂先が3mほどお辞儀をするような開き方を寒の時期には多用している。 注意が必要なのは、風が強いときの聞き方である。海面から道糸をほんの少し上げただけでも、ツケエがかなり動いていることを知っておこう。 自分はほんの少し聞いたつもりでも、道糸が風に吹かれてツケエが大きく、しかも急激に動いていることがある。結果として、食いが渋いときほどツケエを離す確率が高くなる。

 また、ウキがゆっくりとしか入らないのに、いきなりガツンと大合わせ!というのもいただけない。それで空振りしたら、せっかく岩穴から誘い出したクロが、また穴の中へ逃げ込んでしまう。 スッと抜くような優しい合わせを入れて、竿に乗ったらスーッとポイントから外してやあるのが、食いを持続させるコツだと言えよう。
* ビギナー向けに言えば、クチブト狙いなら遅合わせが基本。特に水温低下時や水温が安定しない時期には遅合わせのほうがいいと思う。 ただし、それ一辺倒ではどうしても合わないこともまた事実である。

* 合わせのパターンを変えてみる前にやっておかねばならないことがある。 つまり、食わせて初めて合わせの必要性が生じるわけだから、仕掛けのチューンナップをはじめ、ツケエのつけ方を変えたり、鈎の種類を替えたり、ワンランク小さくしたり、ウキ下の微調整をしたりといった食わせる工夫は当然やっておくことが前提である。
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