クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
050. ポンピングでは大型は取れない。ゴリ巻きのほうがずっと確実だ。 【 松田稔 】
 倒した竿を立てながら魚を引き寄せ、また竿を寝かせながら余った道糸を巻き取る。この動作を繰り返して魚を寄せることをポンピングと言い、魚を取り込むための基本とされている。 ところが、このポンピングで取れるのは小〜中型に限られる。大型のグレでこんなことをしていたら、瀬ズレしたり、根に入られてバラすのがオチである。

 なぜか? 道糸に村して竿を90度に立てたとき、竿の弾力は最高に生かされる。だが、ポンピングをするとその90度が維持できない。竿を60度から40度の角度まで倒したときに大型魚が走ったら、弾力は生かされず、ハリス、または道糸がハチ切れてしまう。

 もう一つのケースはこうだ。 鈎掛かりしたグレは、一目散に手近な宕陰に逃げ込もうとする。釣人は竿をいっぱいに曲げて反対へ引っ張り、それを阻んでいる。その状態が続いている限り、グレは泳ぐ方向を変えることはできない。 そうしようとしてグレがわずかな隙を作れば、たちまち頭を釣人のほうへ向けられる。すると、あとは一気に巻き取られてしまうだろう。

 同じことは釣人にもいえる。一瞬でもラインを緩めたら、グレは途端に手近な岩へ張り付くに違いない。 ポンピングすれば、この一瞬の隙をグレに与えることになるのである。 とはいえ、グレが岩に張り付いただけの状態なら、そのまま引っ張りながら待っていれば必ず出てくる。それを、下手に糸を緩めると、今度は完全に岩陰へ潜り込むから、取り込める可能性はまったくなくなる。

 では、ボンピングせずに取るにはどうするか? 竿を立てたままの状態でリールを巻けば問題ない。俗に言うゴリ巻きである。とにかく、巻けるが余裕があれば、引っ張って引っ張って巻きまくる。 ただし、これをやるとガイドが傷むし、リールも傷む。きっちりとメンテナンスをやって、常にチェックしておく必要がある。特にガイドは要注意で、これが傷つくと道糸が一発で飛んでしまう。

 また、滴ズレしたことが分かれば、その後はソフトにやり取りせざるを得なくなる。 どうしてもポンピングをしたければ、竿を倒す幅を極力小さくすることに心がける。そして、その間にできるだけ速くリールを巻けばいい。そうすれば、竿の角度は維持できる。

* 道糸に対して竿を90度にするのが基本であり、したがつてグレが足元まで寄ってきたとき、竿はほとんど寝た状態になる。 ところが、そこから再びグレが沖に走ると、竿と通糸は直線になる。竿の弾力はまったく生かせず、通糸かハリスでハチ切れる。オナガではよくこんなことがある。




竿を立て、曲げた状態のままでリールを巻く。すると道糸が緩むことはないし、竿の角度も維持できる。ポンピングのようなデメリットはない。
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