クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
052. 口を使いたがらないクロは大鈎で掛け合わせる。 【 石田順市 】
 寒の時期に慣ればクロは食い渋り、ウキにはわずかな当たりしか出ないことが多い。ウキがほんの少ししか沈まなかったり、あるいは沈んだのに合わせても素鈎を引くといった状況に出くわす。 こんなとき、まったくのビギナーなら闇雲に合わせるばかりで、タイミングが分からずパニック状態になるかもしれない。 少しクロ釣りを経験している釣師の場合は、鈎掛かりしないのをエサ盗りのせいにしてしまう傾向がある。

 釣り込んでいる人ならいろんな対策を試みることだろう。たとえば、ウキ下を少し浅くするとか、ガン玉をできるだけ鈎から遠ざけるとか、超遅合わせをするとか、鈎を小鈎に替えるとか…。 なにもやらないよりは、なにかやったほうがいいに決まっている。釣りは一投一投が勝負ではない。一投一投を重ねて、その結果、正解にたどり着けばいいのである。

 さて、こんな場合、私は鈎を大きくするという方法をとっている。現在のクロ釣りでは、鈎はグレ鈎の5号前後を使うのが主流である。その5号で鈎掛かりしないときは4号、それでもだめなら3号に落とすのが普通である。 しかし、私は5号でだめなら7号にする。あえて鈎を大きくしてやるのだ。

 クロはツケエに抵抗を感じたり違和感を覚えると、プイッと瞬時に吐さ出してしまうことが多い。このとき、鈎が小さいほど吐き出しやすいのではないだろうか。小鈎で食い込ませるのも一理あるけれど、大鈎に比べてスッポ抜ける可能性も高いのである(やり取りの途中で外れることも多い)。 そこで、私は小鈎よりも大鈎のほうが口に掛かる率が高いのではないかと考え、実際に試してみた。結果はどんぴしゃり。ウキが10pほど沈むくらいの当たりでも、鈎掛かりさせる率が高くなった。

 ここで、当たりが小さいほど大型の可能性が高いというセオリーを思い出してほしい。 ウキが10pほど沈んだだけでじっとしているなら、エサ盗りだと勝手に判断せず、まず大グロがくわえている可能性を凝ってみる必要がある。 食い渋りに大型特有の強い警戒心が加味された状態、それが10pウキが沈んだままで、それ以上食い込まないという現象かもしれないのだ。  実際に、この方法で掛け合わせたクロには大型が多かった。40pオーバーは数知れず、50pオーバーも結構釣っている。みなさんも試してみる価値はあると思う。

 最後に断っておきたいのは、小鈎がダメというわけではない。小鈎で釣るのも一つの方法である。で、それでスッポ抜けたら大鈎にするのも一つの方法。 食い込ませるのが小鈎なら、掛け合わせるのが大鈎というわけだ。


寒の時期は腕によって釣果に大きな差が出る。大鈎使いは、この低水温時に威力を発揮する方法だ。うまく掛け合わせればご覧の通りの良型をものにできる。

* もちろん、単に鈎を大きくすればいいというわけではない。道糸の処理や合わせ方も大切である。 月並みだが、張らず緩めずの状態で流すのがコツ。そして、10pほどウキが入って止まったら、息を殺すような気持ちでじわっじわっと竿先で聞いてやる。
 穂先に自分の仕掛け以外の微かな重みを感じたら合わせどきである。大きく合わせるのではなく、グッと引くような感じで合わせてやろう。
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