クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
053. どんなときでも小鈎に小エサが一番とは限らない。 【 丹羽正 】
 私が釣場に持参するツケエは、食い渋る冬場でも、LLサイズのオキアミ(ブロック)である。その理由を少し述べてみたい。

 まず基本的な考えとして、でかい魚はでかいエサを食うと思っているからである。これは実際に経験したことであるが、視認できる水深までマダイの群れが浮いてきたあった。そのときの就餌行動をつぶさに観察すると、マダイは大きいエサから口にすることが分かった(チヌにも同様の傾向がある)。

 クロについては、この目で確認したわけじゃないが、多分似たようなものではないかと考えている。 難点としては、目立つからエサ盗りにやられやすいということがある。 しかしながら、冬場の代表的なエサ盗りであるキタマクラが多い場合、小鈎に小エサだと逆に鈎がいくつあっても足りなくなることをご存じだろうか。 大鈎に大エサのほうが、鈎を噛み切られる確率が意外と低いのである。 ただし、それには対処法が必要だ。ウキに小さな前当たりが出たときに、少し仕掛けを引いてやることで、キタマクラから鈎を盗られることを防ぐことができるのである。だが、小鈎に小エサなら一発で噛み切られてしまうだろう。 もちろん、前当たりをキャッチすることのできる感度のいいウキを使っていることが前提である。

 以前、私のホームグラウンド伊豆の入間という磯でこんなことがあった。キタマクラがめちゃくちゃ多く、鈎の消耗がおびただしいことこの上なし。キタマクラに食わせてなるものか!と頭にきた私はカットグレの9号を結んだのだった。 クチブト狙いの場合、現在では5、6号が標準サイズだから、9号というと相当大きいし、ツケエもそれに見合う大きさだ。 しかし、なんとこれに40mオーバーのクチプトが食ってきたのである。厳寒期で、クロの活性がとても低い状況だったにもかかわらず。

 確かに食いが極端に渋いときは、「小鈎に小エサ」に分があると思う。しかし、9号だから食わないということはなく、それは釣人の勝手な思い込みにすぎない。 その弊害というか、顕著な例が、食いがいいときでもつい小鈎に小エサを使ってしまうことである。小鈎は大鈎に比べて食い込み(吸い込み)はいいけれど、スッポ抜けがある。大鈎のほうが断然スッポ抜けが少ないのである。 なのに、食いがいいときでも小鈎に小エサを使ってしまうのはなぜだろうか・・・。一度小鈎を使うと、大きな鈎は食い込みが悪そうでなかなか使いづらいものである。

 断っておくが、私は小鈎に小エサがいけないといってるわけではない。状況に合わせるべきだと言いたいのである。 キタマクラが多く、鈎の消耗が激しいときを例にとれば、鈎とツケエをワンサイズ大きくすることもクロを手にする大切な工夫なのである。 もう一つ、大は小を兼ねるけれど、小は大を兼ねることができないということもLLサイズを使う大さな理由である。

 ツケエは、基本的に鈎の大きさに合っていないといけないので、たとえばグレ競技用6号から5号に落としたなんてときはどうするか。 その点、便利なのがオキアミのブロックである。ブロックのいいところは、LLサイズといっても、すべて同じ大きさではなく、いろんなサイズが混じっているところにある。ところが、Mサイズのブロックだと、大さなオキアミを装餌したいとき、探すのに苦労するのだ。 だから、私にとっては、LLサイズのブロックが最も使いやすいのである。大きいやつは切って使うことができるし、ムキミにするときも、大きなオキアミのほうがやりやすい。だが、その逆はできない。強いていえば、二匹掛けが可能なくらいである。
* ときどき奇妙な思い込みにとらわれるのが釣人である。小鈎に小工サがいい例で、一度小鈎を使うと、大きな鈎を使うには勇気がいる。 ウキ下も同様で、一本とか二本とか深く入れてしまうと、なかなか浅くはしづらい。 でも、押してもダメなら引いてみなで、小鈎でダメなら大鈎、深ダナで釣れないなら、浅ダナを攻めてみるべきである。思考はいつも柔軟なほうがいい。

* 人気があるのがパック入りのオキアミ。ブロックとの大きな違いは、サイズがほぽ揃っていることである。最近ではエサ持ちがいいよう特殊加工を施された商品が市販されているので、小さめのサイズを予備として持参すればよい。
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