クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
054. 鈎はツケエに合わせるもんや。鈎だけ小そうしてもしゃあない。 【 松田稔 】
 近年、グレは繁殖・飽食状態にあり、よほど活性が高いときでない限り、オキアミを一口で丸呑みして走ることはない。ついばむように少しずつ食べる。 途中で気に障ることがあれば平気で離し、そのオキアミにはもう見向きもしない。他にいくらでもオキアミはあるからだ。 オキアミが大きくて鈎が小さいと、往々にしてこうなる。

 かつて、小鈎のほうがよく釣れると伝えられ、小鈎が大流行したことがある。 あの当時、確かに、小鈎にしてよく釣れるようになった釣は多かった。 だが、小鈎にするとなぜよく釣れるのかというところまで考えた釣人はいなかった。単に、小鈎にするという事実だけを受け入れていたように思う。

 自分がいろいろ試してみた結果からいえば、魚の食いに関係が深かったのは鈎軸の太さだった。いくら鈎が小さくとも、軸が太いと食いが悪く、飲み込むことはほとんどない。 反面、軸が細いと少々大きくても食いはいい。飲み込むことも多かった。 これはなにを意味しているかというと、やはりくわえたときの違和感しかない。 競争心ばかりが強く、警戒心の薄いグレなら落ちてくるオキアミを食うこともあろう。概して、そんなグレは小型に多い。 だが、それなりに警戒心を持っている良型のグレは、マキエと同じように流れているオキアミしか食わない。まだ沈みつつあるオキアミには目もくれない。 ということは、重い・軽いは関係ないと見てよい。いくら大きいガン玉を使っていようと、仕掛けを張れば問題ないのだからー。

 このように考えてくると、鈎軸が太いか細いかで食いが変わる理由は、どうしてもグレの違和感に落ち着く。 もちろん、水温が下がってグレの活性が落ちたときは、流れてゆくオキアミを口に入れるという捕食行動も鈍る。

 水槽で飼ったグレを使って実験したことがあるが、水温を急に下げると一発でオキアミをくわえることができない。ちょうど、人間がかじかんだ指先で鈎を結ぶのと同じ状態だと思えばいい。 したがって、そんなときは、ツケエのオキアミを小さくする必要がある。すると、それに伴って鈎も小さくなる。 オキアミも鈎も小さければ、異常を感じてグレが吐き出そうとしても、そのときはすでに鈎が口中に入っていることが多い。 グレの型が小さい場合も同様にする。

 このように、あくまでもサシエサが先に決まり、鈎はそれに従うものだということを理解しなければならない。 大きい鈎にはそれなりのメリットがある。掛かりやすく、スッポ抜けにくい。飲み込まれることも少ないから、オナガ釣りには欠かせない。 そのようなメリットを度外視して、無闇に鈎だけを小さくする愚は厳に慎むべきであろう。


Gハードヴィトムが登場する以前、グレ釣りにはヘラスレを使っていた。カエシがない鈎はアミでも装餌しやすいし、抜くように合わせるだけでガッチリ鈎掛かりする。カエシがないことによるデメリットは、グレ釣りに限ればまったくない。

* グレが食い渋ったときは、鈎軸が太いか細いかに加えて、耳が目立つか目立たないかをチェックする必要がある。特に、光を反射する金・銀の鈎は、写が光ることによってクレの警戒心を喚起する可能性が高い。
 競技ヴィトムや競技くわせ、競技チヌなどのオキアミカラーは、そのような理由で開発された。
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