クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
055. 最強のエサ盗り・アジゴは遠投連段マキエでかわす。 【 大知昭 】
 現代の磯釣りにエサ盗りはつきもの。それも夏だろうが冬だろうが関係なし。磯に立ってマキエを打ち、仕掛けを投入すれば必ずなんらかのエサ盗りがいる。 フグ、ベラ、スズメダイ、タカベ、カワハギ、キタマクラ、サバゴ、アジゴなど、おなじみの魚だけでもズラリズラリと出てくる。 普通はマキエで分断したり、遠投でかわすことでなんとか対処できるが、中には難しい魚もいる。

 特に足の速いアジゴには結構手を焼く釣人が多いのではないだろうか。ポツリポツリ散発的にくるならまだしも、アジゴに群れで来られたらたまらない。 手前も沖も、浅場も深場も導いスピードで走り回るから、かわしようがない。実際のところ、完璧にかわせる方法はないといっていい。それでも、トーナメントや釣り大会などでどうしても釣らなければならない状況になったらどうするか。

 ここでは私自身の体験の中から、一つの例を解説してみたいと思う。もちろん100%成功したとは言えない。ただ、他の釣人がアジゴのためにまったく釣りにならなかった中で、なんとかキープサイズのグレを何匹か釣り上げ、優勝することができた例である。

 釣場は秋の五島列島。磯に立ってマキエを打った瞬間に、驚くほどのアジゴが一面に湧いた。 これは大変なことになったと思ったがどうしようもない。なんとかこの状況でグレを釣らねばならない。 そこで考えたのが、図のように手前から沖まで数段の列を仮定して、順にマキエを打ち、その中からグレを拾う方法だ。

 まず、2、1の順にマキエを打って3に仕掛けを投入。それでダメなら3、2、1の順にマキエ、4に仕掛け投入。今度は4、3、2、1にマキエ、5に仕掛け。そのパターンを沖へ沖へとどんどん延ばしていった。 少し正面を休ませて、今度は同じパターンを左と右、それぞれの向きに繰り返した。そして再び正面に戻り、最初のパターンの繰り返し。 これでキープサイズのグレを釣ることができたのである。

* 結局のところ、グレをキープできたのは、ほとんど30m以上の遠殺においてだった。 普段からマキ工と仕掛けの遠投のトレーニングをやっていたとはいえ、五島の磯でこんなことになるとは思ってもいなかった。 もちろんこのパターンが、いつでもどこでも通用するとは思わないが、遠投釣法に大きな自信がついたのは確かである。


足の速いエサ盗りが群れたら、これほど厄介なエサ盗りはいない。



アジゴをかわすときはマキエのほとんどを食わせる覚悟でないとうまくいかない。

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