クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
057. 当たりもなくツケエを盗られたらウキをスリムタイプに替える。 【 田中釣心 】
 ウキがポコポコと動き、たまに明らかな当たりが出て沈んでゆく。ツケエを食っているのがクロだと分かっているのに、いくら合わせても鈎掛かりしない。こういうケースは非常に多く、毎日のように釣人が訪れる有名な釣場では、特にその傾向が強いように感じる。 魚がスレていると言ってしまえばそれまでだが、せっかく釣りに行く以上、なんとかして1匹は釣り上げたいものだ。そのために、先人たちは苦労してきたし、現在も釣人は工夫を続けている。

 さて、前述のような反応がウキに出た場合の原因には、ウキ下、鈎、ガン玉位置の設定ミスなどが考えられる。 ところが、それをいくら修正しても鈎針かりしないことがある。実際に経験して歯がゆい思いをした人も多いだろう。実は私もその一人だ。 そんなとき、私はスリムなウキに替えるようにしている。つまり、より感度の高いものへと移行させるのだ。

 ウキが生み出す抵抗は、その直径と浮力、さらに沈むときに引き起こす複雑な水流と関係している。 単純な話、スリムなウキを使えば、直径が小さいので抵抗は減る。さらに、形状が砲弾型なので引き起こす水流も最小限に抑えられる。

 ところが、である。ここで注意しなければならない問題が出てくる。 まずは浮力。前述の通り、浮力はウキの抵抗を生み出す。たとえば、浮力Bの円錐ウキをスリムタイプのウキに交換したとする。 一見すると抵抗は減ったかに思えるが、せっかく交換したウキの浮力が2Bや3Bだと、あまり効果がないのである。場合によっては逆効果にもなり得る。確実な効果を望むなら、同じBのスリムタイプに替えたほうが妥当である。 次に、感度ばかりにとらわれて、最初から最後までスリムタイプを使おうなどと考えないほうがよいということ。 ウキには視認性、感度、遠投性、安定性など本来の役割というものがあり、それは種類によって使い分ければ、大きなウキや高浮力のウキが重宝することだってある。それを無視するとかえって釣りづらくなるので注意しよう。

* 実際にウキを作ってみると、視認性、感度、安定性、遠投性など、すべての条件を満たしたウキを作るのは不可能だと気づく。
つまり、遠投性を高めれば、当然視認性も高めなくてはならなくなる。ところが、そうすることによってウキが大型化して、感度が低くなるといった具合だ。 反対に感度を極限まで高めようとすれば小型棒ウキのようになり、遠投性と安定性が著しく低下する。 よって、すべての条件に適した万能ウキは存在しない。釣人はその日、その場の条件に合わせて、ウキを選択しなければならない。
 私は、ウキ選びは見えざる釣技だと思っている。また、それ以上に、自分が選択したウキで魚を釣るという喜びがある。 こだわりのウキを徹底して使いこなすのもいいが、安定した釣果を望むなら、釣場にはできるだけ多くのウキを持ってゆこう!

* もし、ウキをスリムタイプに替えても効果がないようだったら、二段ウキに切り替えてみよう。小さな先ウキを使えばもっと抵抗が小さくなる。 また、重たく大きい元ウキを使っても、魚には抵抗が伝わりにくい仕組みになっているから、遠投性や視認性も得られる。 それでも釣れなかったら…? 運が悪かったと思って諦めよう!




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