クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
059. タカベが多いときは集中的なマキエで腹一杯にさせる。 【 山本伸二 】
 タカベという魚はどこでもそうかもしれないが、われわれ大分の磯釣師にとってはなじみのある魚である。もともと水温の高い夏場に多い魚ということだが、今ではほとんど年中見かけることが多い。食味もいいから専門に釣る人もいる。 それでもクロ狙いの釣人にとっては、厄介なエサ盗りである。数が多ければなかなかかわすのは難しい。

 ただ、これまで何度もタカベに邪魔された経験から分かったことがある。それは、マキエをたっぷり打ってタカベに食わせるだけ食わせてやると、自然におとなしくなるということだ。 もちろん、いつも必ずそうかといわれると、100%そうだと断言はできない。対処法の一つと考えていただきたい。

 実はその経験が、大分鶴見で行われた第一回ロイヤルカップのときに生きたのである。 二回戦でビシャゴに上がったときだった。自分のエリアに入ってマキエを打つと、あたり一面がタカベだらけだった。 まず考えたことは、沖めにマキエを打ってタカベを集め、仕掛けは右手の離れたところに入れてクロを狙ってみようということだった。 ところが、一投一投ことごとくタカベにやられてしまう。そこで思い出したのがマキエ集中作戦だ。まず仕掛けを側に置いておき、マキエだけにかかる。 時間の限られたトーナメントだから、普通はなかなかできないことかもしれないが、このときは腹をくくっていた。 集中的にマキエを打ってタカベにどんどん食わせる。その作業を続けること約十五分。結局マキエの半分近くをタカベに食わせてしまった。 そして様子を見ていると、あれだけ群れていたタカベがだんだん少なくなり、いつの間にか消えてしまった。 そこで再び仕掛けを取り出し、念のために思いきり速投してみた。なんとそれにクロが食ってきたのである。 このラウンドは結局この1匹だけのキープだった。でもその貴重な1匹が自分のペースを取り戻してくれ、この対戦に勝つことができたのだと思う。

* 考えてみると、マキエで腹一杯になったからタカベがおとなしくなった、というのは釣人の勝手な思い込みなのかもしれない。 本当は、潮やその他の原因で消えたのかもしれない。 あたり一面タカベだらけという状況に遭遇したら、また同じようなことを試してみようと思っているが、なかなか条件が揃わない。 読者の方で、もっと面白い「秘策」があったら、ぜひ教えていただきたい。


タカベは集中的なマキエでかわす。そんな経験がロイヤルカップのときに生きた。



大分の磯釣師にとってはなじみのある魚、タカベ。
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