クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
062. 四、五投でワンセット、そのうちの一投で食わせる! 【 池永祐二 】
 現代のクロ釣りは、エサ盗りや外道との戦いである。だからこそ、エサ盗りをかわして釣る技がいろいろ編み出されるわけで、ただなんとなくマキエを打って、ただなんとなく仕掛けを投げて釣るより、はっきりとした意図を持って釣るほうがクロを手にする確率は高い。 というわけで、エサ盗りが多く、潮として攻めるべきところがないときに私がよくやるワンセット釣法の考え方を紹介してみよう。

 攻めるべきいい潮がないのだから、最初にやることは、ツケエが残るか残らないかの境めというか、ツケエが残ったり盗られたりするところを探し出すことである。ずっとツケエが残るところも、逆に盗られっぱなしのところもよくない。 厳寒期の本流を例にとると、エサ盗りは少ないけれど、ツケエがずっと残りっぱなしなら、クロが食う確率は低い。 それよりはその本流に引かれる潮のほうが、エサ盗りにやられることはあるものの、クロの食う確率はずっと高いはずである。そういう意味で、ツケエが残ったり盗られたりするところを探し出すのである。 探すときの注音点は、手前にのみマキエを入れて、仕掛け投入点には一切マキエを入れないこと。仕掛けは沖から手前まであちこち入れてみること。

これによって、エサ盗りの広がり具合をある程度把握することができる。
@ずっとツケエが残るエリア。
Aときどきツケエが残るエリア。
Bまったくツケエが残らないエリア。

 季節によっては、超遠投しても@やBばかりということもあり得るが、そういうときは別の手段を考えるしかない。

 さて、このAのエリアを攻めるときに大切なことは、何投かをワンセットで考えるということである。四投、ないし五投のうちの一投で食わせるといえばいいだろうか。

図を見ていただきたい。 できるだけエサ盗りを引きつけるために、足元のマキエはずっと入れ続け、
● 一投目〜@に少量のマキエを入れ、ある程度沈んだら仕掛けを投入し、Aまで流す。
● 二投目〜同様にAにマキエ、仕掛けを入れ、Bまで流す。
● 三投目〜同様にBにマキエ、仕掛けを入れて流す。
● 四投目〜マキエを入れず、潮上のCの位置に仕掛けを投入して流す。
この四投目こそ食わせるための一投であり、一〜三投目はダミーというか、四投目で食わせるための布石なのである。

 もっとも、四投目で確実にクロが食ってくるわけではない。ワンセット、ワンセットで繰り返し釣る中でクロが何匹か食ってくる程度。エサ盗りが多いほど、その確率は下がる。しかし、ただいたずらに釣るよりは、はるかにましである。

 なお、図のパターンは、フグやウマズラ、ウスバハギといった潮下に広がるタイプのエサ盗りが多いときに効果的な方法である。 簡単に説明しておくと、一流しの最後(仕掛けを巻き上げたところ)を次の一投のスタート地点にし、エサ盗りを一投ごとに潮下に追いやり、最後の一投でクロを狙って潮上から流し込むというパターンである。 ワンセットで考えるという方法は応用の幅が広いので、いろいろ試していただきたい。 要は一投一投が勝負ではなく、四投、五投する中の一投で食わせるという意識であり、食わせの一投に至るまでの布石の打ち方である。
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