クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
063. 食わないときのウキ下調整は大胆にやってみる。 【 鵜澤政則 】
 最初のウキ下設定は、アバウトである。その日、上がった磯の状況から判断してもいいし、事前の情報から判断しても構わない。大体の見当をつけて釣り始める以外にないのである。

 問題はむしろここからで、どう変えてゆくか、どうクロのタナに合わせてゆくかである。特にコマセを打ち続けてもクロの姿が見えないときにどう合わせるかであろう。 クロが見えないときに、微調整を繰り返して合わせてゆくのは時間の無駄というか、大変な作業である。したがって、そういうときは、とりあえずどのくらいのタナで食ってくるかをチェックする意味で大胆にやるほうがよい。 で、ツケエを盗られるようであれば、半ピロ単位で浅くし、逆に残るようであれば、一ヒロ半から二ヒロくらいの単位で思い切って深くしてやる。また、水深ギリギリまで硬くしてまだツケエが残るようであれば、今度は同じくらいの単位で浅くしてゆく。 1p刻みとか10p刻みとかいう人もいるが、私はそれはどシビアに合わせる必要はないと思っている。

 水温が著しく低下するときなど、極端に食いが渋い状況であれば、ウキ下30〜50pの差で食う食わないがあるかもしれないが、通常10p違うから食わないなんてことはまず考えられない。 その例証として、全遊動や沈め釣りといったタナを探ってゆく釣法を考えてみればよい。 全遊動をやるときに、30p刻みだの50p刻みだのでタナを探ってゆく人はまずいない。流し方一つで、適当に浅く釣ったり深く釣ったりしているわけで、それで十分に食ってくるのだから、それほど神経質になる必要はない。 最初は大胆にやって、当たりが出たり、ツケエを盗られたり、かじられたりするタナをとりあえず見つけ、微調整はそれからの仕事だというわけだ。

 次に、クロを何匹か手にしたあとのタナの変化。これにどう対応してゆくかも今のクロ釣りには求められている。 食わないとき、同じウキ下で流すのは三回まで。急に食いが止まったときも同様で、ツケエが三回積ってきたらウキ下に手を入れる必要がある。 これは、クロのタナは常に変わるということを前提にしているからで、実際潮の上げ下げでも変わるし、コマセの量でも変わるし、晴れたり曇ったりで変わることさえある。

 今のクロ釣りは、竿一本で食わせた、はたまた二ヒロで食わせたといった具合に、たった三時間でもウキ下に幅があることのほうが多いくらいである。 ちなみに言えば、クロは浮いてくるときは徐々に、沈むときは一気にスーッと落ちてしまうようである。

 もう一つ、クロの姿は見えないけれど、オキアミの頭だけかじられているといったケースがある。この場合は、タナはぼ合っていると考えている。 エサ盗りの可能性も否定できないけれど、二回流して二回とも同じようにオキアミの頭をかじられたら、クロだと思ってほんの少しウキ下を浅くする。 それで食ってこないならば、仕掛けの流し方とかガン玉とか鈎とかいったウキ下以外の要因を考え、それらを取り除く策を講じることになる。

 それに関連することで、クロも巧みにエサを盗るということも考えておかねばならない。 つまり、クロは頭だけをかじるわけではなく、ツケエのオキアミ全部を巧みに盗ってゆくこともある、ということだ。まさかと思われるかもしれないが、ケースとしては頭だけかじる場合よりは多いと言えそうだ。 原因としては、仕掛けの感度が悪い、ハリスがたるんでいるといった初歩的なミスのほかに、ウキ下が深すぎることが挙げられる。とりわけクロが見えているときにウキ下が探すぎると、クロにエサを盗られてしまうことが多いようだ。 こんなところまでクロは浮いてこないだろうなどと勝手に考えると痛いめに合ってしまう。
* ビギナーの場合はウキ下が合っている合ってないの前に、仕掛けがちゃんと狙いのタナに入っているかを疑ってかかるべし。風が強いときほど入っていないことが多いのである。
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