クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 2 】
064. 活性が低いときのウキ下は底からナンボと計算する。 【 松田稔 】
 グレという魚は憶病で、怖いと感じたり驚いたときは、すぐ自分の住みかである岩陰に逃げ帰ろうとする。また、いくら美味しそうなエサが流れてきても、できることなら岩陰から離れずに捕食したいと考えている(多分)。 しかし、昔は、根本的に海の中はエサの量が不足していた。加えて、人間の怖さを知らないグレが多かったから、マキエを追ってどこまでも移動していたのである。

 かつて、沈み瀬もなにもないところで釣れていたのは、足元に潜んでいたグレがマキエにおびき出されて沖に移動し、そこでツケエを食っていたと考えられる。そして、マキエを食い尽くしたらまた住みかに戻る。そんなパターンを繰り返していた。 今でも、グレの数が多くて活性が高いときは、これと似たような状況を呈する。グレはエサを食うために、先を争って浮上する。 そんなときは、ツケエとマキエが多少ずれていても、またツケエのタナが少々狂っていても食ってくる。 このとき、ウキ下は「上からナンボ」、つまり水面から何ヒロと計算する。グレは水面近くまで浮いてくるから、上から計算したほうがずっと早い。 しかし、グレの数が少なく、活性が低いときに上から計算していると、答えを出すのに時間がかかりすぎる。この場合、グレのタナを早くつかむには底から何ヒロと計算する。 オキアミを大量に撒く時代が到来し、海の中にはエサが満ち足りている。おかげで、沿岸に住む魚はすべて栄養状能がよくなった。これは、養殖と同じである。

 昔のグレは、特に梅雨のころは礁臭く、鱗にツヤがなく、ボロボロ剥げるほビ栄養状態がよくなかった。それに比べて今のグレは一年中旨く、ツヤもあり、昔の同じサイズと比較すると引きも強く感じる。 反面、飢えてないから、怖い思いをしてまでもエサを追って沖へ行こうという気はさらさらない。そのため、いくらマキエしても、自分の住みかからはわずかしか出てこない。 警戒心も強く、少しでも違和感のあるツケエは食おうとしない。マキエから外れていても食わないし、タナがずれると見向きもしない。 こんなときのウキ下は、グレが海底(住みか)からどこまで浮上するかを計算したほうが早い。つまり「底からナンポ」なのである。 さらには、移動距離も短く、自分の住みかから少ししか出てこない。いくらマキエが流れていようと、それ以上は追いかけようとしないのである。


* エサに関してグレが満ち足りている影響は、潮にも及んでいる。 昔は、マキエしたらグレは上げ潮も下げ潮も釣れていた。だが、今はほとんど片瀬しか釣れなくなっている。 つまり、工サの絶対量が少なかったころは、グレにしても潮の選り好みができなかったのだろう。それが、今はグレの数が少なく、エサは多い。したがって、競争して食う必要もない。本当に好きな潮の時だけ食えばいいのである。
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