クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
072. 冬場のウキ下設定と仕掛けのパターンについて。 【 池永祐二 】
 寒の時期、どれくらいのウキ下から釣り始めるかというと、私の場合は、三ヒロから竿一本が目安である。逆に、梅雨から秋口にかけては二ヒロで釣り始めることが多い。 低活性のクロに対してはツケエをできるだけゆっくり落とし込んでゆきたいし、冬場の手強いエサ盗り・キタマクラ対策も考慮して、仕掛けは完全フカセが基本である。

 ハリスは二ヒロ半ほどとるから、半ピロの遊動となる(ウキ止めの位置は鈎から三ヒロ)。これでツケエが残るようであれば、ウキ止めを竿一本の位置までずらすが、あらかじめタナが深いと分かっているときは、最初からこのウキ下で釣り始めることもある。 それでもツケエが残るようならば、ウキ止めの位置はそのままでガン玉を追加し、一ヒロくらい沈めて釣る。それでもダメなら、ウキ止めを竿一本と一ヒロまでずらした上で沈めて釣る。

 こうやって竿二本までは沈め釣りで探ってゆくが、竿二本になったら、ハリスを三ヒロと長めにとり、ガン玉3Bを使ったやや重い仕掛けに切り替える。これがよくやるパターンである。 竿一本と一ヒロのタナを探るのに、ウキ止めを竿一本の位置にセットして、一ヒロ沈めてゆくことにお気づきだろうか。 それなら、竿一本と一ヒロの位置にウキ止めをセットすればいいじゃないかと―。 しかし、その場合は、本当に狙いのタナまで仕掛けが入っているかどうか判断しにくい。特に風が強いときは、入っていないことが多い。

 ところが、この仕掛けの場合は、ガン玉がなじんで、ツケエが仕掛けを引っ張りだした時点でウキが沈み始めるので、少なくともガン玉までは狙いのタナまで届いていると判断することができる ( クロ釣りの技 22 参照 ) 。  深ダナを攻めるときは、マキエにも注意が必要である。タナが深くなるほどマキエとツケエを合わせにくいからだ。竿一本半以上のタナを攻めるときは、前に打ったマキエをイメージして仕掛けを流すくらいでちょうどよい。そういうことも覚えておいてほしい。

 もう一つ、釣人の心理として、一度深く釣ると、なかなか浅くはできないものである。浅いタナを探ってもツケエが残るからこそ深くしたわけだから、その心理は理解できる。 しかし、場合によっては浅くすることも必要である。冬場は三ヒロから竿一本半のタナを重点的に探りつつ、二ヒロにしたり、竿二本にしたりするーこれが目安だと考えてほしい。

 どういうときに浅くするかというと、急にコッパグロが見え出したとか、エサ盗りが出てきたとか、逆に消えたとかいったときである。簡単にいえば、潮が変わったら、一からやり直すと覚えておけばいいだろう。 釣座を移動したときも、浅いタナから探り直したほうがいいと思う。通常10mも移動したら、潮が変わっていると考えるべきである。釣れないときは、気分転換という意味もある。

 そのほかでは、ベラ、カンダイ、ブダイといった根につく魚が鈎掛かりしたら、矢引きほビウキ下を浅くする。ブダイの場合は投入点を沖に変えてもよい。


* かつてこんな経験をしたことがある。ウキ下三ヒロで釣り始めたが、ツケエが残る。セオリー通リツケエがなくなる層を探っていって、竿一本と矢引きの深さで反応あり。鈎をチェックしてみると、キタマクラの噛み跡。そこで、キタマクラ対策を実践して釣ると、ぽつんぽつんとクロが食ってきた。
 ウキ下は竿一本と矢引きのままである。これより浅くするとツケエが残り、深くするとキタマクラの節食になるというパターンがほとんどだった。 これがなにを意味しているかというと、魚には適水温というものがあって、居心地のいい水温の層に集まっているのである。
 この場合で言えば、キタマクラもクロも同じ竿一本と矢引きという層(なにがしかの幅はあるだろう)にいて、食い気のあるクロだけがキタマクラより速くツケエを追った結果、食ってきたのではないだろうか。 したがって、ツケエが残ってくるときにまずやるへきことは、それがエサ盗りであれ本命であれ、ツケエがなくなる層を探し出すことなのだ。
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