クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
074. 潮の流れが分からないときはオニギリをプーッ! 【 松田稔 】
 潮の流れは単純ではない。空気が複雑に動いているように、海水も実に複雑に流れている。 風があれば表層近くはその影響を受けているし、沈み瀬があってそれにぶつかったところは上昇する流れが発生する。また、沈み瀬を通りすぎれば、今度は潜る流れが生じる。 海底に障害物がなくとも、二つや三つの潮がぶつかれば、やはり潜ったり、浮き上がったりする。

 そういう状況は、地形やウキの傾きで大体分かるものだが、普段からそういうトレーニングをしてないと難しい。 そんなとき、実際に海の中がどう流れているかを知るには、オキアミを撒いてみればいい。最初は表層の流れに乗りながら少しずつ沈み、ある程度の水に達すると流れる方向が変わる。沈むのが急に早くなることもあるし、逆に沈む速度が遅くなる場合もある。 オキアミが沈む速度も、そのときの海水の比重によって異なるから、確認しておきたいところだ。 ただし、海水が濁っていると、オキアミはすぐ見えにくくなる。また、沈む速度が遅いから、単純に流れだけを見たいときはいらいらする。 そういう場合は、オキアミの代わりに飯粒を撒いてみる。オキアミの三倍はよく見えるし、オキアミより早く沈む。弁当のオニギリを一口だけ含み、海面にプーッと噴き出せば広範囲に広がる。

 以前は、小さいオニギリをアルミホイルにくるんだものを何個も用意していた。そして、潮が変わるたびにそれをやって海中の流れを確認した。 実は、これをやると、潮の流れが分かるのと同時に、海水の透明度も確認できる。 透明度が高いと魚の警戒心が強まり、釣りづらくなる。逆だと釣りやすい。透明度が高いか低いかを知っているだけで、対応はずいぶん変わってくるのである。 もっとも、透明度を数字で表そうとすれば、実際にオキアミを鈎に刺して投入し、それが見えるか見えないかのところでウキ下をチェックするしかない。

 人間の目はいい加減なものであるから、透明度が高い真冬の海の中のものはつい浅く判断する。グレが本当は四ヒロの水深を泳いでいても、人間は二、三ヒロと思い込み、それよりさらに浅くウキ下を合わせたりする。 それでは釣れるはずがない。 そういう間違いを防ぐ意味で、鈎に刺したオキアミは二ヒロでこれだけ、三ヒロではこれだけ見えるということを、最初のうちは確認したほうがいいだろう。慣れればカンが養われ、この透明度なら水深○メートルと正確に把捉できるようになる。


白くて小さな点が飯粒。逆光では見にくいが、それ以外の条件では他のどんな色よりもよく目立つから、中層ではどう流れているかが分かりやすい。

* 磯に上がって釣りを始める前にオキアミを撒いてみると、潮の流れが分かるのと同時に、小魚の活性もわかる小魚の活性はグレの活性にも共通しており、投入されたオキアミに対して小魚がすぐ反応すれば、グレの活性も高いと考えられる。 反対に、撒いても撒いてもはなく、何時間も撒いてやっと工サ盗りがチョロッと出るくらいでは、その日のグレの釣果は期待できない。 ただし、いつもはオキアミをあまり撒かない釣場(鹿児島県甑島のようにパン粉が主体のところなど)では、グレが出てくるまでかなり時間がかかる。
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