クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
075. 迷えるビギナーにおすすめ!あっちこっち釣法。 【 丹羽正 】
 もし、あなたがビギナーで、まだ潮の動きを読むことができず、どこにコマセを入れたらいいか分からないと悩み、大して釣果が上がらないのであれば、今から述べる「あっちこっち釣法」をぜひ実践してほしい。

 さて、足元コマセの重要性については別項で述べた通りであるが、この手はそれと密接な関係にあることをまず理解してほしい。 具体的な方法は誠に持って簡単。エサ盗りが多かろうが少なかろうが、ただ足元にのみコマセを入れて釣ればいいのである。沖には一切に入れないし、ウキにも絶対かぶせない。 ウキにかぶせないと釣れる気がしないという人が結構いるかもしれないが、ここはじっと我慢。ただひたすら足元にのみ入れ続けよう。 その代わり、仕掛けは手前にも沖にも潮上にも潮下にも周囲ぐるっと360度、あっちこっちに入れて流すのである。 それで、一日釣ってみてほしい。

 用意したコマセが余るようではいけない。早朝から昼すぎまで一日八時間釣るとしたら、その間に全部使い切ってしまうように。 最終的にコマセが余ってよいのは、クロがガンガン当たってくるときのみ。釣れないときほど、エサ盗りが多いときほどコマセは必要なのだ。 (いつもコマセが余りぎみという人は、多分ウキの周囲に入れるだけで、足元に打ってないからではないだろうか) 足元に打ったコマセの大半はエサ盗りに食べられるかもしれないが、それでOK。残ったコマセは必ず少しずつ沖に出てゆくものだから。 たとえ押してくる潮であっても、必ず跳ねるところがあり、残ったコマセはその跳ねる潮によって沖のどこかに効いているはずだ。 つまり、そのどこかを探すために仕掛けを360度あっちこっちに入れるのである。セオリーとしては、手前から順に仕掛けを入れ、ツケエの残り具合をチェックしながら少しずつ沖へというパターンでよい。

 もう一つ、クロの数とコマセの量との関係もある。ツケエを食わせるには、できるだけ少ないコマセでクロに競争させることが肝心なのだ。 楽してエサが食えるという状況ではなく、先に食わないと食いっぱぐれるという状況を作ることが望ましいのである。 ついでに書いておくと、最近は時合が短くなったとよく言われるけれど、その理由の一つに足元コマセをやらなくなったことがあるのではないか、と私は考えている。

 足元にコマセを入れ続けていれば、いったん食いが立つと、入れ食いやそれに近い状態になることがよくある (もちろん、食いが立ったらマキエの回数は同じでも、量は三分の一以下に減らす。これが食いを持続させるコツ)。 慣れてくれば、ここぞというときにだけウキにマキエをかぶせて釣っても構わない。

 たとえば、クロの姿がちらっと見えたとか、ずっと盗られていたツケエが急に残ったとか、なんとなく釣れそうな潮が流れ出したとかいった場合に限って、足元にコマセを打ち、ウキの周囲にもコマセを少量入れて釣ってみるのである。 「あっちこっち釣法」はビギナー向けの一手ではあるが、慣れて応用が利くようになれば、エサ盗り対策などいろいろ使えて便利。一ケタの釣果が二ケタにアップする可能性がある。 釣果の上がらない人は、騙されたと思ってぜひ一度お試しを。


足元コマセといっても、ドボンとダンゴ状のマキエを打つのはよくない。縦、横、斜めに散らして打つ練習をしておこう。

* 足元コマセについては
 「 クロ釣りの技 27 」 を参照。

* トーナメントの場合は、時間が限られているから、直接沖にコマセを打ってツケエと合わせてゆく場合が多い。 理由は、そのほうが勝負が早いからである。 だけど、その日一日竿を振ることができるのであれば、もう一度基本に戻って足元コマセを徹底してみることをおすすめする。
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