クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
076. 潮のカベを攻めて良型クロを狙い撃つ! 【 倉掛義照 】
 潮のカベとは、潮と潮の合いめのことで、そういうところには魚が多いのが普通である。もっと大きな海流を例にとっても、海流と海流がぶつかるところは、昔から好漁場として知られている。 潮と潮の合いめになぜ魚が多いのか、科学的な理由としてはエサとなるプランクトンが多いくらいしか知らないけれど、釣人から見れば、マキエが溜まりやすいからよく釣れるということになる。

 二、三、分かりやすい例を挙げてみると、サラシがほかの流れとぶつかるところはいいポイントである。また、引かれる潮が本流にぶつかる、といったケースも潮のカベの分かりやすいパターンである。 本流というと、速い流れのみを想定しがちであるが、そればかりとは限らない。強くゆったりとした流れの場合もある。本流=その釣場の主流というふうに考えると、潮のカベは結構多いはずだ。 ところが、攻めるエリアを自分で狭く考えると、潮のカベは見つからないかもしれない。 20m四方しか視野にない人と100m四方まで視野に入れている人とでは、おのずとポイントの数が違ってくるのだ。

 ほとんどマキエが効いていないと思われる地点で釣ったクロでも、腹を裂いてみると、マキエを食っていることが多い。そんな経験を何度もしているから、釣座に立ったらできるだけ視野を広くして、攻めるエリアを大きくとらえるほうがよいと思う。 たとえば、あと10m余計に流せば潮のカベに仕掛けが入るのに、20mしか流さなかったために見過ごしてしまうという例は意外と多いもの。 悲惨な例としては、20mくらい流したところで仕掛けを巻き取る人がいて、理由を尋ねてみると、ウキが飲み込まれて見えなくなるから…。 ウキが飲み込まれるということは、その付近で潮と潮がぶつかってカベができているという証拠。ウキが「さあ、潮のカベに入りますよ。ここからが勝負ですよ」と教えてくれているのだから、飲み込まれるままに流してゆくことである。


 図は実際にあったケースで、本流とそれにぶつかる引かれ潮がカベを作っており、B、C点の釣人は引かれる潮を釣っている。私はA点で、本流には一切マキエを入れていない。足元のみである。 最初はセオリー通り手前から流していって本流とのカベを狙っていたが、エサ盗りが多くてカベに入る前にやられてしまう。そのうち、B、C点の釣人にイサキがぼつぼつ当たるようになった。 そこで、手前から流してもエサ盗りにやられるか、イサキしか望めないだろうと判断し、沖のD点に仕掛けを入れることにした。 といっても、本流を狙ったわけではなく、E点付近で仕掛けを引き戻して潮のカベを狙ったのである。これにクロが立て続けに食ってきた。 これは、エサ盗りとの兼ね合いのケースだが、大切なことはどこでカベに入れるかである。

 ケースバイケースだから、言葉で表現するのは難しいけれど、たとえば、ウキが飲み込まれた地点を見つけたとしたら、その地点の10m前から流し込むほうがいいか、5m前からのほうがいいかを考えねばならないということである。 場合によっては、先の例のように沖に入れて引き戻すほうがいいことだってある。 ただし、いずれにしても、ウキが飲み込まれる地点にゆく前に仕掛けなじんでいること、そして、ツケエがついていることが前提である。
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