クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
077. 安定して食いが続く引かれ潮はこうやって攻める。 【 宮川明 】
 速い潮が沖を通ると、それに引っ張られる流れが生まれる。これを引かれ潮というが、明確な反転流の形となる場合と、そうではなくて単に引っ張られるだけの流れがあり、本流の速さや角度、それと地形との関係で、さまざまに変化する。 正直言って、僕は本流よりもこの引かれ潮を釣るほうが多い。

 理由はいろいろある。 本流は水温の変化が多く、それに伴ってグレのタナが変わりやすいというのが一つ。 また、本流で食いが立つのは潮止まり前後に多く、ゴンゴン流れるときはまったく当たらないというケースが多い。 その点、引かれ潮なら、平均して当たりが続く。グレの数が多いところなら、一日中釣れ続くことも珍しくない。 もちろん、男女群島の帆立岩や立神のように、本流でオナガがどんどん当たってくる非常に魚影の濃い釣場は別格だと考えてほしい。

 さて、この引かれ潮を攻めるときは、まず仕掛けはできるだけ軽くする。流れが緩いのだから、あえて重い仕掛けを使う必要もあるまい。 それに、近年の傾向として、グレは食い渋ることが多い。特に、厳来期はタナが深いうえ、ウキをわずかに沈ませるだけで、それ以上なかなか食い込まない。 そんな場合、重い仕掛けでドーンと沈ませると、いよいよ食い込みが悪くなる。できるだけ軽い仕掛けでフッと沈ませたほうがいい結果が出る。

 次に、引かれ潮のどの部分を釣るかという問題がある。 図は、左から右へ向かう本流@が鼻先をかすめ、それに伴なってAの反転流が発生している。BCががここで言う引かれ潮で、足元から沖に向かってゆっくり出てゆくから非常に釣りやすくもある。 当然、本命はこのBCになる(沈み頼や海溝などの際立った地形の変化がない場合)。 ただし、Dの三角地苛も見逃してはいけない。ここは本流と反転流の影響で、常に表面がザワついている。波が小さいのにサラシができることもある。 BCを釣っている間、このDにもマキエしておいて、一〜二時間してここに仕掛けを落とすと、いきなりガツーンと当たるケースが多い。特に、九州の離島でこんなところを狙うと、日中でもオナガの大物が当たってくる。 したがって、リールはオープンベールのままで、いつでもフリーの状態で道糸を送れるようにしておく。


* 目の前の流れを見て、それが本流か、それとも引かれ潮かを判断するのは、ビキナーにとっては難しいと思う。 慣れないうちは、初めての磯に上がったら、必ず高いところに登って全体の地形を眺め、本流はどう流れているかを頭の中に叩き込むことだ。本流がどう流れ、磯際ではどんな引かれ潮が生まれるかを常に考えていると、反転流や引かれ潮と本流との違いが分かるようになる。
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