クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
078. サラシは、直接狙うよりも利用して攻めるに限る! 【 池永祐二 】
 サラシは、かつて好ポイントの一つだった。いや、今でも大方のクロ釣り入門書にはそのように記されている。 その理由の一つとして、ビギナーにポイントの解説する場合、サラシは誰が見てもすぐにそれと分かるので、とても教えやすいということがあるのだろう。 確かに溶存酸素が多いとか、エサが豊富とか、白泡によって身を隠すことができるとかいった、よく言われるサラシの特徴ゆえに、水温の低い低活性時を除いてクロが寄りやすいのかもしれない。

 しかし、現実にはどうか? 昔は確かに好ポイントだったかもしれないが、少なくとも現在では小型を別にすれば、そう多くは望めないというのが私の見解である。 釣れても足の裏級か、よくて30cmくらいまで。現在は、サラシ狙いよりも潮狙いのほうが圧倒的に有利だと思うのである。 当然、この見解は経験に基づいており、大分県南の磯でも、五島や男女群島でも、あるいは四国の日振や中泊でも、サラシを直接攻めるよりも、潮を攻めていい結果が出ているのだ。 もっとも、「サラシは最初から捨ててかかったほうがよい」と言うのではない。それは、前述した低活性時にのみ当てはまることで、それ以外ならうまく利用して攻めるべきだと言いたいのである。

 状況によって方法はいろいろ考えられるが、基本は『潮からサラシヘ』というパターンである。たとえば、図のような沖に延びるサラシがあって、横流れの潮とぶつかっているとする。 こんな場合、狙いのポイントは、当然サラシと潮がぶつかっているところになる。そういうところは、海中が青白く見えるだろうし、ウキを入れると潜ってゆくだろう(ただし、浮力が強いウキだと素通りしてしまう可能性あり)。 このポイントを攻めるとき、払い出すサラシに仕掛けを乗せて潮に入れるのではなく、横流れの潮に仕掛けを入れて、サラシとぶつかるところへ流し込むという方法をとる。すなわち、『潮からサラシヘ』である。

 いきなりサラシの中にマキエを打って、直接サラシの中を釣るというビギナーがよくやる方法では、エサ盗りやコッパグロにやられるのが落ちである。 というのは、マキエがサラシの中で無秩序に拡散し、エサ盗りもサラシの中に散らばってしまうからである。また、へたをすると、潮の中までエサ盗りが散らばってしまう恐れもある。 したがって、この場合のエサ盗り用のマキエは、足元のサラシの際、それも潮が当たる側に打つのが基本と考えたい。 もしメインのエサ盗りがウマズラやウスバハギといった潮の中まで入ってゆく種類であれば、サラシの中に打って潮下へ誘い出すという手も考えられる。

 そのほかのサラシの利用法としては、風が強いときのラインコントロールに使える。 風が強いときは、下図のように道糸をサラシの中に入れてやると、風の抵抗が軽減し、とても流しやすくなる。




* 狙うべきいい潮がないときは、サラシ狙いになる。そういうときも、直接サラシの中を釣るよりも、サラシを利用する手を考えたほうが型のいいクロが釣れる。 例としては、サラシに乗せて沖へ仕掛けを運ぶとか、サラシに運ばれたマキエが効いていそうな沖のピンポイントを攻めるとかいった方法である。 サラシがあるときのいいポイントは、基本的にサラシがほかの流れとぶつかって生じる潜る潮である。サラシとサラシがぶつかっているところにも潜る潮は発生しやすいので、狙ってみるとよい。
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