クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
082. 低下活性時は竿二本以内のエリアを重点的に攻めろ! 【 池永祐二 】
 基本的にクロは沖のほうが食わせやすい。そのほうが比較的警戒心が少ないからである。したがって、マキエでクロを自在に動かして釣ることができるときは数も伸びる。 しかしながら、活性が低いときはそうはいかない。クロが沖に出ようとしないからである。とりわけ水温の低い寒の時期にはそれが顕著になる。エサ盗りを含めて魚がまったく見えないという状況がそれに当たる。

 一般的にこんなときのクロ釣りは、一日粘っても二ケタ釣るのが難しく、よくて5〜6匹。タナも深いことが多く、ウキ下で言えば、竿一本半以上のウキ下で当たるようなときは、二ケタ釣るのが難しいと言えよう。 もちろん、10匹以上釣れるときもあろうが、そんなときは大体いい時合があって、なおかつ食わせる努力をいろいろやった末の釣果である場合が多い。 だからこそ、この時期のクロ釣りは面白いのである。総じて型もよいから、食わせたという実感がある。 ただし、攻め方を一つ間違えるとボーズということにもなかねないわけで、どこをどう攻めるかという組み立てをしっり立てておかねばならない。

 攻め方のコツは、マキエとツケエを確実に合わせて釣ること、それが大前提。それがやりやすいのが磯際から竿二本以内のエリアで、ポイントをそれ以上沖に広げると、マキエとツケエを確実に合わせようとしても確率がガクンと低くなる。 もし、沖にいい沈み瀬があって、それに向かう潮があれば、話は別だ。その沈み瀬スレスレで食ってくる可能性がある。 つまり、低水温時のクロは、沈み瀬であれ磯際であれ、岩から離れようとしないのが普通であって、底から浮き上がって宙層のマキエやツケエを追うことは少ない、というわけである。 だから、寒の時期は沖にいい潮があっても、とりあえず釣ってみて当たりがないようなら、手前に絞って攻めたほうが得策なのだ。これには、狭いエリアにできるだけマキエを集中することで、数寄せたい、また、そこにいるクロの食い気を少しでも高くしたいという狙いもある。 当然食い渋りが予想されるから、ウキは感度優先。仕掛けは軽いもので、ゆっくりツケエを落としてゆき、ツケエがなくなる層を探す。場合によっては、根掛かり覚悟で底近くまでツケエを落とす必要もある。

 残る問題は、いかにマキエとツケエを確実に合わせるかである。前述したように竿二本のエリア内であれば、比較的楽に合わせることができる。 ただし、タナが深くなるほど合わせるのが難しくなるという点は考えておかねばならない。そのコツを三日で言えば、前に打ったマキエをイメージして釣ることである。 具体的に言うと、一投前に打ったマキエ、あるいは二投前に打ったマキエがどのくらいまで流れ、なおかつどれくらいまで沈んだかをイメージして仕掛けを投入し、流してゆくのである。 マキエとツケエを合わせるというと、仕掛けを投入し、ウキの周囲にマキエを打てばそれでOKと思っている人が意外と多いが、それで実際に合っているのかどうか、もう一度じっくり考えてみてほしい。 ヒントは、ツケエのほうがマキエより沈むのが速いという点にある。


寒の時期は潮が飛ぶ沖磯はあまりよくない。写真のようなワンドがかえって好結果を生むことが多い。感度のいいウキ、軽い仕掛けでツケエをじっくり落とし込んでゆこう!

* 釣れない、当たりがないときほどあちこちポイントを変えて狙ってみたくなるものだが、低活性時はマキエが散って逆効果。ポイントを絞り、チヌ釣りのような感じでどっしり腰をすえて釣るほうがよい。小さく渋い当たりをいかにとるかがカギを握る。
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