クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
083. クチブトとオナガを分離してオナガだけを狙う方法。 【 松田稔 】
 グレの生態はまだまだ分からないことが多い。オナガとクチブトの違いも謎だらけで、ただ釣人が体験を通して知っている程度にすぎない。

 昼間のオナガは磯際か沖でないと食わないのもその一つで、中間距離だとクチブトしか当たらない(小型のオナガは別)。なぜそうなのかはともかく、そこでしか食わないのだから、それに合わせるしかない。

 では、どちらで食わせたほうが有利か? 一長一短がある。 磯際はマキエとツケエが合わせやすい。しかし、魚の警戒心が強く、取り込むのも難しい。瀬ズレしやすいし、根に入られることも多い。

 沖は、逆に、警戒心が薄く、取り込みやすいものの、マキエとツケエが合わせにくい。手前でのわずかな誤差は沖へゆくほど増幅されるし、長い距離を流すほど風や流れの影響を受けてズレやすくなる。 さらに沖へ出る流れも要求される。 警戒心がなく一気に食い込んでこられると、今度は鈎を飲み込まれて歯ズレで切られるという心配も出てくる。

 磯際を釣るとネクラになるという理由で、自分は沖でしか釣らないが、手前から中間部にかけてクチブトがいるときは困る。オナガの口に届く前に、クチブトがツケエを食ってしまうからで、このような場合は仕掛けを流すラインを変える。 つまり、マキエして小型のクチブト、中〜大型のクチブト、そしてオナガとそれぞれのラインを設定する。潮が走ってグレの活性が高ければ、足元近くは小型のクチブト、その沖は中〜大型のクチブト、さらに沖はオナガときっちりと分離できる。

 ヒットポイントはその順で遠くなっているから、オナガを狙って釣るには遠投し、遠くまで流せばいいことになる。言葉にすれば簡単だが、目いっぱいマキエを遠投して、しかも遠い距離でツケエと合わせるのだから、たやすくはない。

 潮や魚の活性の程度により、どうしてもオナガとクチブトのラインを分離できないときは、クチブトのタナよりウキ下を深くする。そうしておいて、オナガのヒットポイントに達したところで仕掛けを抜き、ツケエの流れる層を浅くして、そこでマキエを合わせるというテクニックもある。




* オナガは最後の最後まで抵抗するから、タモで掬うまで安心はできない。あとは掬うだけという段階でオナガに突っ込まれ、涙を飲んだ釣人は数限りなくいる。 それだけに、無事取り込んだときの喜びは大きい。
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