クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
084. 日中のオナガも磯際で食ってくることがある。 【 丹羽正 】
 クチブトは根を釣れ、オナガは潮を釣れ、という言葉をご存じだろうか。これは、クチブトが潮を釣るというより、潮の中の根周りを釣ることが多いのに対して、オナガは潮そのものを釣ることが多いという意味である。 ただし、磯際は例外。オナガは、日中でも磯際で食ってくることがある。その方法について述べてみよう。

 まず釣座選びだが、大切なことは掛けたオナガを取るときに障害となるものがないことである。掛けても取れないならば、いい釣座とは言えない。 簡単に言えば、ハエ根がないこと。あっても、張り出しが少ないところを選ぶ。できれば、カケアガリみたいにだらだらと深くなっているところが取りやすい。これは潮を釣るときも同様である。

 ポイント的には、オナガは際ぎりぎりにいる(よく観察していれば確認できる)ので、サラシが出ているようなところでは仕掛けが磯際に落ち着かずやりにくい。同じ意味で潮が速いところも磯際は攻めづらい。 磯際狙いがやりやすいのは、ブッツケやケンミである。ブッツケとは潮が当たっているところであり、ケンミとは潮の裏側の巻き込み潮が入ってくるところである。 注意したいのは、ケンミと潮裏の違いである。ケンミはいいポイントになるが、潮裏は当然のことながらポイントにならない(図参照)。

 もう一つ、磯際を狙うとき、水深を気にする人がいるが、水深はあまり気にしなくてもいいと思う。浅いところでもオナガは食ってくる。 釣座が決まれば、次はオナガが見えるか見えないかという確認をしなければならない。これによって、ウキ下がずいんぶん変わってくるのだ。

 オナガの姿が確認できないときは、当然ウキ下も深くなる。その場合のコマセは磯の上に打ち、返し波で持っていかせるようにする。波が寄せるときに打つと、あたりに散らばってしまうが、返し波のときなら吸い込まれるように下に沈んでゆくからである。

 そのコマセの動きと同じように、仕掛けもツケエから順番に送ってゆくような感じで、返し波のときにスーッと入れてやる。 基本的に磯際狙いのコマセは、遠くに打たないのは当然だが、バラけないように少量をボッチャンという感じで一点に打つことである。
 サラシがあるときは、サラシが一瞬スーッと引いて水面がきれいになって見えることがあるが、そのときにコマセを散らして打つと、いろんなところにコマセがいってしまうので注意する。ボッチャンという感じで打つと、下に向かって沈みながらバラけてゆくのである。


 逆にオナガが見えるときは、コマセとツケエを合わせることを重視して、コマセを磯際から1mくらい離して打ち、仕掛けもそっと入れてやる。 また、そういうときは、オナガが見えるタナヘウキ下を合わせることが肝心である。

水面下1mのとごろまで浮いてきているか、一ヒロのところまで浮いてきているかといったことを確認する。ただし、ベタ凪で潮が澄んでいれば別だが、通常水面下二ヒロになると目で確認することは難しい。

 オナガが浮き上がってコマセを追っているようなときは、食い気のある証拠だから、コマセの量を少なくする。 逆にゆったりした感じで泳いでいるオナガが見えることがあるが、そういうオナガはなかなかそれより上には浮いてこない。そんな場合は、その下にもオナガがいると思ってツケエを落としてゆく。

 また、フラフラと浮いてくるオナガも、コマセでキュッキュッと動くようになれば食うけれど、普通は食わないことが多い。 たとえば、水面下1mか1.5mくらいのところをフラーッと浮いてくるオナガも食い気がなく、へたをするとコマセも食ってない場合がある。 ただし、岩棚の上まで浮いてくるやつは食うと思ってよい。こういうオナガはウキ下が深すぎると食わないから、30pとか50pとか極端に浅いウキ下で釣ることだ。

 要するにオナガが見えるときは、なによりもそのオナガがいるタナにウキ下を合わせることが大切だということである。 潮を釣ってダメなら、磯際を狙うのも一つの手。そのためには、沖の潮を釣るときも足元にコマセを打って、磯際に注意を払っておくことだ。
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