クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 食わせ技編 3 】
085. 高水温時のオナガ釣りは浅いウキ下で辛抱する。 【 池永祐二 】
 オナガは夏が旬の魚である。ところが、九州のオナガ釣りといえば、男女群島や南西諸島における冬場の60cm超級狙いがことのほか有名で、オナガ釣り=冬=離島遠征というイメージが強い。 しかし、50cm級止まり(40cm前後の型が最も多い)なら、夏、秋のシーズンに、大分や宮崎、あるいは九州西岸でも狙って釣ることができる。 私はこれを「夏オナガ」と呼び、毎年楽しませてもらっている。40cm前後の型が多いとはいえ、その引きは強烈。釣りものの少ない夏場に磯釣りの醍醐味を存分に味わうことができる、それが魅力である。

 そんな夏オナガ釣りのコツを簡単に記してみよう。 オナガは日中釣りでも夜釣りでも食ってくるが、夜釣りのほうが大物が狙えるのと、暑さを避けるという理由で、私は夜釣り主体で釣行することが多い。 といっても、一晩中竿を振るわけではなく、日没後三時間と夜明け前三時間に集中し、深夜は仮眠をとる。その意味では、朝夕マズメ狙いと大して変わらない。

 夜釣りのポイントは、ドン深よりも浅場がよく、日中釣りでは敬遠してしまうような浅場でも食ってくる。具体的には、水深5mもあれば十分に狙えると考えて差し支えない。深いところでも、岩棚があればその上で食ってくることがある。

 攻め方は、徹底した磯際狙いで、磯際に仕掛けを引きつけて釣る。離しても2m以内と覚えておこう。したがって、サラシや速い潮は釣りづらく、緩い潮や押してくる潮のほうが釣りやすい。 ウキ下は、二ヒロくらいから始めてツケエの残り具合に応じて上げ下げするが、深くても竿一本くらいまで。

 夜釣りのコツをまとめれば、浅くて波静かなところの磯際を徹底して狙うのが釣果を上げる第一歩と言える。 これとは逆に、日中釣りはできるだけ潮切れのよいところを選んで、沖の潮を釣る。

 問題はウキ下で、時期的にエサ盗りが多く、また、活性も高いから、なんとかエサ盗りの層を突破して・・・という考えのもと、案外ウキ下を深めに設定しがちなのである。もちろん、状況によっては、そうせざるを得ない場合もあるだろう。 しかし、「夏はクチプトより浅く、冬はクチブトより深く」が、オナガを狙うときのウキ下設定の基本。

 オナガを専門に狙うならば、一ヒロから一ヒロ半のウキ下で辛抱するのが得策なのだ(ツケエの残り具合にもよるが、総じて浅いウキ下で食ってくる)。 辛抱するといっても、ただ流しているだけではコッパグロをはじめとしたエサ盗りに簡単にやられてしまうから、マキエの打ち分けや仕掛けの遠近投げ分けなど、夏場の釣りに不可欠の対策はやらねばならない。 たとえば、食わせ用として沖に少量打ったマキエにコッパグロが群がることがあるが、そのマキエがまだ残っているにもかかわらず、コッパグロや小魚が手前に逃げて戻るときはチャンスである。こうしたチャンスのときに、ウキ下が探すぎるとオナガはヒットしない。

 なお、夜釣り、日中釣りともにツケエには工夫が必要。オキアミ生だけではなく、ボイルや小エビのムキミなどエサ盗りに強いツケエを持参することをおすすめする。


マズメの一発、オナガの急襲をこらえる。

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