クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 小技・裏技編 】
087. 小グロしか釣れないときこそ研究するチャンスである。 【 宮川明 】
 どんなに努力をしても、20〜25pのグレしか釣れないときがある。特に、梅雨時の内湾はそんな傾向にある。

 釣り始めた当初は釣れるのが小グレばかりであっても、もっと大きいグレを釣ってやろう。そう思って、手を替え品を替えていろんな努力をする。しかし、万策尽きたとさ、みなさんはどうするだろう? 磯変わりできればそれに越したことはない。だが、釣客の数が多くて、移動した先も同様の釣果しか望めないときは、潔く諦めたほうがいい。 と言っても、釣りをやめるのではなく、その日の釣果を断念して、釣りの研究をすることに一日を費やそうというのである。

 たとえば、小グレは警戒心が薄いから、わりと簡単に釣れる。だが、同じパターンを繰り返して釣り続ければ、食いは次第に落ちてくる。ウキは引き込まれいるのに、合わせても鈎掛かりしなくなるのである。 グレがそこにいるのは間違いない。なのに、釣れないとしたら、釣り方が悪いとしかいいようがない。 もちろん、釣れない原因はそれだけではない。朝マズメから時間が経ち、太陽が高くなるにつれて、次第にグレの食いは落ちてゆく。また、マキエをずっと与え続けているため、グレの食欲も満たされていると考えられる。

 とはいえ、そのような悪条件をどう克服して1匹のグレを手にするか、それが釣人の技だと言える。食いが悪いから釣れなかった―では話にならない。 前述した鈎掛かりしにくくなった小グレでも、これをどう釣るかというテーマを設定すれば、格好のチャンスだと思う。

 釣り始めた当初の食いがいいころは、ウキがどんな入り方をしていたかを観察し、記憶にとどめておく。そして、食いが悪くなってからは、ウキがどんな入り方をするようになったかを比較する。 その違いが分かれば、食いのいいときの当たり、食いが悪いときの当たりを見分けることができるようになる。

 さらには、鈎に掛かったグレがどの方向に走るかを観察すれば、彼らの住みかがどこにあるか、ある程度は見当がつく。 当たりの違いや鈎掛かりしたグレの走る方向などは、一日釣りをして二、三回しか当たりがない状況では、とても確かめる余裕などない。小型を何十匹も釣って初めて、そんなことを観る余裕ができるものだと思っている。

* 小グレしか釣れないときは、食わせる研究と同時に取り込みの研究もしてほしい。25pまでしか釣れないときは、0・6号までハリスを落とし、竿や道糸もそれなりに軟らかく、細くしてみる。 これは、竿の弾力を活用しないと取れない細さだから、これが身に付けば1・5号ハリスでも40〜45pのグレが取れるはずである。3号で60mのオナガも取れないことはないのである。 それには、どれだけ竿でタメられるかが重要になる。
 今の若い釣人たちは、大物に巡り会えるチャンスが少ない。経験が少ないから、大物を取るためのテクニックがなかなか身に付かない。 年に一、二度、男女群島でしか大物に遭遇できないとしたら、そのときはバラしてばかりいることになる。 小グレしか釣れないときでも、竿さばきを研究し、身に付けていれば、まったく同じ操作をすればいいのだから十分対応できるはずである。


ラインが限度いっぱいに伸びるまで竿を曲げることを、タメルという。小グレ釣りにでも細いラインと軟らかい竿を使い、常にタメることを心がけていれば、男女群島に行って大物の引きに遭遇しても、慌てることはない。
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