クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 小技・裏技編 】
088. ウキ止め糸は切って揃え、胸に垂らしておくのが松田流。 【 松田稔 】
 近年の磯釣りはマキエの量が増え、それと反比例してグレの絶対数が少なくなっている。さらに、人間の怖さを知ったグレも多くなり、ますます釣りづらくなってきた。 以前はマキエを入れると、いくらでも水面近くまで浮いてきたのに、今はそんな光景にお目にかかれることはめったにない。ちらっとでも見えればいいほうで、グレの警戒心は強くなり、平均してタナは深くなっている。 そのため、ウキを固定して使用する機会が減っている。

 また、一日のうちでも、タナが浅くなったり深くなったりと変動が激しい。 したがって、ウキ下を自在に変えることができる中通しタイプが主力になりつつある。これなら竿一本以上のウキ下がとれるし、遊動から固定にするにしても簡単である。

 それにともない、シモリ玉とウキ止めが欠かせなくなった。 ウキをセットする際は、使う・使わないは別にして必ず先にシモリ玉を通す。そうしておけば問題はない。

 ウキ止めは、道糸(ナイロン)2号を短く切って結べば好きなところに設定できる。といって、わざわざ磯バッグから道糸を引っ張り出すのは面倒だ。短く切って、束ねて胸元にぶら下げておけばすぐに使える。

 ピンオンリールには、このウキ止め用の短く切ったナイロンのほかに、ラインカッターと、突き丸という名のニードルをぶら下げている。 ニードルといっても、先端は尖ってない。ウキを固定するヨージを抜くためのものだから、先端が尖りすぎていると使いにくいのである。

 固定ウキにするときはウキの下からヨージを差し込むが、これが出っ張っていると重心がずれる。また、余分な潮を受けるから、バランスが狂ってしまう。そのため、ヨージは完全にウキの中に押し込んでおく。 となると、素手では抜けない。ニードルが必要になるのである。

 ヨージについて付け加えておくと、これが硬いと道糸に傷が入る。だから、軟らかいヒノキを削って作った特製のヨージを使用する。 ただし、そのまま差し込んだのでは、やはり道糸に傷が入る。そこで、いったん差し込んだあと、道糸を上下に引っ張る。すると、ヨージが軟らかいから道糸の通った跡が溝となって残る。 その溝に道糸が収まるようにすれば、道糸には傷が入らない。




ピンオンリール三点セット・・・ラインカッター(松山の文字が見える)と突き丸、そしてウキ止め用の短く切ったナイロン糸。



以前は固定専用の割りウキが中心だったが、作る手間がかかることもあって、現在はほとんど使っていない。今はもう幻のウキとなってしまった松山(しょうざん)の割りウキタイプ。ヨージは上から差す。
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